Nodesha
ジャム&ルイスがアリスタ傘下に再興したレーベル、フライト・タイム。その新人選考オーディションで栄冠を勝ち取ったのが、現在18歳のノディーシャだ。オーディションでは大好きなブランディの“Have You Ever?”などを歌ったという彼女。しかし、テリー・ルイスの反応が良くないことに気付いた彼女は、審査員席の机に飛び乗っていきなりダンスをしたのだとか! この〈歌姫誕生劇〉はもはや語り草となっているが、イマチュアのバック・ダンサーをやっていただけあって、踊りは相当上手い。
「バック・ダンサーは5年ぐらいやってたわ。家の外で姉と遊んでたらB2Kのマネージャーが通りかかって、姉に声をかけてきたんだけど、姉は踊れなかったので私が紹介されたの。9歳の時にジャネット・ジャクソンの“You Want This”のプロモ・クリップを観てエンターテイナーになりたいと思ってたから、チャンスだ、って。ジャネットって、ただ歌うだけじゃなくて、ダンスとかも含めてトータルで見せてくれるアーティストよね」。
そんな彼女がジャネットのブレーンであるジャム&ルイスに見初められたとは、何だか出来すぎた話だ。本人も「夢みたい。信じられない!」と興奮気味に語る。
「実を言うと、レーベルと契約した時、ジャム&ルイスのプロデュース作品で知っていたのはジャネットの曲だけだった。彼らがボーイズIIメンとかメアリーJ・ブライジとかを手掛けていたことを知ったのは、つい最近なの……。でも、やっぱりジャネットが最高ね」。
ファースト・アルバム『Nodesha』の制作中、彼女は、ジャム&ルイスが作った何曲ものトラックから好きなものを自由に選ばせてもらったのだという。秘蔵っ子ならではの特典と言えそうだが、ジャム&ルイスの他に、ジャーメイン・デュプリ、ダラス・オースティン、シェイクスピア、ブライアン・マイケル・コックスらも関与したアルバムは、そもそもどんな方向性をめざして作られたのだろうか。
「流れに任せて作っていっただけで、最初からこういうものを作ろうって決めてたわけじゃないの。結果、アルバムはダンサブルで楽しいものに仕上がったわ。歌詞の内容はほとんど私の個人的な恋愛体験とかを書いているんだけど、何か悩んでいる人の参考になる歌詞もあるはずよ」。
アルバムには、ドラマティックでキャッチーなセカンド・シングル“That's Crazy”などノディーシャの愛くるしい歌声が十二分に活かされた好曲が満載だ。ルックスにも見て取れる健康的で溌剌とした感じも好印象な彼女だが、微妙にセクシーな肌の露出については次のように話す。
「セクシーであっても品のある格好はできると思うの。私はおヘソを出しても、胸はしっかり隠してるわ(笑)。ほら、想像の余地を与えておかないと、ね」。
なるほど、自己演出もバッチリなようで。すでに次回作のヴィジョンもあるというからたいしたものだ。
「ブランディの『Full Moon』が大好きなんだけど、あれをそのまま真似しないで、もうちょっとアーバンな感じが強調できたらと思うの。私の人生を歌っているんだけど、他人の視点から物事を見つめたような感じで歌えたらいいわね。あと、マイケル・ボルトンともデュエットしたい! とにかく何か違ったこと、フレッシュで新しいことをやっていきたい。でも、あんまり新しすぎちゃうと一般のリスナーが理解できなくなっちゃうから、程良く新しいスタイルでやっていくつもりよ」。
そう言った後に「ねぇ、アシャンティは日本で売れてるの? 私はビヨンセ派だけど(笑)」と彼女。意外と冷静に(?)周囲の状況を見つめているようでもある。
「みんなそれぞれに才能があると思うの。だから活躍して当然よね。でも、その中で私が活躍できるスペースもちゃんと取っておいてね(笑)」。
ええ、もちろん。ライヴァルの多いこの世界だが、彼女にはその〈スペース〉が用意されている。
PROFILE
ノディーシャ
カリフォルニア州サンバーナーディノ出身の18歳。ジャネット・ジャクソンやブランディに影響を受けて6歳の頃からパフォーマンスを始め、後にイマチュア(IMX)のバック・ダンサーに採用される。その後も地元を中心にライヴやデモ制作に励み、オーディションをきっかけにジャム&ルイスが設立した新生フライト・タイムと契約。同レーベルの第1弾アクトとして、2003年8月にシングル“Get It While It's Hot”でデビューを果たす。セカンド・シングルの“That's Crazy”がスマッシュ・ヒットを記録。このたび、ジャーメイン・デュプリやダラス・オースティンらも制作に携わったファースト・アルバム『Nodesha』(Flyte Tyme/Arista/BMGファンハウス)がリリースされたばかり。