インタビュー

GICODE


 SORA3000(RIZEのJESSE)とSPHERE of INFLUENCE。アメリカン・スクールの同級生であった2人は、共に途中で学校を去って別々の道へと進んだが、時を経て再会。それぞれ違う場所で活動をしながらも交流をふたたび深めていくつかの共演に至り、ついには本格的にGICODEなるユニットを始動させた。作品は、両者の音楽性をミックスさせたものを想像したが、先行シングル“G・I・C・O・D・E”、そしてこのたび完成したアルバム『E・D・O・C・I・G』は、曲の細部まで変化に富んだ、複合的なサウンドを聴かせる。

「トラック作りの作業から全部うちらが仕切ってるし、〈こういう音を作りたい〉ってところから始めるから。ホントに遊び心から始まって、自分たちが追求したいものをアルバムに入れてる感じじゃないかな。セッションして、そこで生まれたヴァイブスとかをどう調理するか。ロックの観点、ヒップホップの観点、エンジニアの観点から見てるからこそ、オールラウンドでみんなが共感できるサウンドや詞になったりする」(SPHERE)。

 もちろんサウンドに限らず、曲のテーマにおいても「普通に女の子のことを歌うのも好きだし。男としていい生活もしてえし。でも、それだけじゃねえしさ。そのなかで世界に対する不満もあるし」(SORA)と話すように、彼らが吐き出すサブジェクトもさまざまだ。それらは、曲のなかでも言っている〈ニュー・ジェネレーション〉という言葉に象徴されるように、若い世代の彼らだからこそ、いまの彼らだからこそ、といった印象を与えるものも多い。

「うちらが言うから説得力があるんだと思うし、これから音楽にハマる奴ら、いまハマッてる奴ら、何か答えを探してる奴らに聴かせたい。うちらでもこういう曲を書けるし、世の中のことは考えてるし。だからみんながアルバムを聴いて、共感できればいいね」(SPHERE)。

 こうした言葉にも2人の意志や意識が感じ取れるが、アルバムを作るにあたっての具体的なヴィジョンはなかったという。それなのに、力と力がぶつかり合うことによって発生する爆発的なエネルギーが散漫にならず、GICODEというユニットとしての基盤となっているのは見事といえる。

「毎回違うSPHEREを見るし、毎回違うSORAを見せる。きっと、毎回違う俺が出せるのはコイツ(SPHERE)のおかげだし。俺が出なくても、コイツが出てるイヴェントを観に行くと俺もやりたくなる。ライヴ観て自分もライヴしたくなるってのは、刺激を受けてるってことじゃん。それをブースでお互いにやり合ってるとスゲエおもしろいモノが出来るんだよね」(SORA)。

「SORAが言葉を乗せたやつに俺の言葉を乗せて、SORAが〈やべえ! 俺も書きてえ〉ってなったらその場で書くし。即レスポンス・スタイルだから、その一瞬一瞬に力を振り絞る感じかな」(SPHERE)。

「一本の小さなロウソクみたいなもんで、一回火を点けたら溶けるだけ。溶けちゃったら点けられないじゃん? その溶ける間に俺らは絶対かっけぇものを作る」(SORA)。

 GICODEという名前の由来は、SORAのクルーであるE.D.O.と、SPHEREのクルーであるC.I.G.が合体したものである。作品にはお互いの仲間たちも当然参加し、GICODEはこの先いろんな形に発展し続けるという。

「俺ら、型にハメられるのが嫌いな人間だから。いろんな色が好きだから、どんどん変わっていくと思うよ」(SORA)。

「ジャンルなり音なり、そういうのを全部ぶっ壊していく。刺激されるものによって変化もするだろうし、〈これ!〉っていう答えはねえんだけど、それに近づいてる。いま〈これだ!〉って思ったものはこれだし」(SPHERE)。

PROFILE

GICODE
アメリカン・スクールの同級生だったSORA3000とSPHERE of INFLUENCEのユニット。90年代後半に前身となるグループを結成し、並行してSORAはバンドでデビュー。2001年の〈BBOY PARK〉に揃って登場し、翌2002年にはCrystal Kayのシングル“hard to say”にも共に客演。同年末にはSPHEREのアルバム『THE INFLUENCE』に収録の“M.O.S.”にSORAが客演するなど、互いの活動の合間を縫って合体を繰り返す。今年に入って、SPHEREのシングル“WALK THIS WAY”にふたたびSORAが登場し、9月にはGICODEとしてのデビュー・シングル“G・I・C・O・D・E”をリリース。このたびファースト・アルバム『E・D・O・C・I・G』(NEW DEAL)がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年11月27日 17:00

ソース: 『bounce』 249号(2003/11/25)

文/高橋 荒太郎