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インタビュー

The Offspring

内容バッチリ安心ブランド〈オフスプリング〉が、7作目となるニュー・アルバムを発表!!


 目つき鋭くヴァイオレントにふるまうパンク・バンドもそりゃ悪くないし、オープンカーのバックシートに美女を乗せるバンドも羨ましい。そういった〈俺ってBIG〉的世界は嫌いじゃないものの、平凡成人男性のわれわれにしてみりゃあ、時に女性に翻弄されてみたり、時にイカツイ男に酷い目に遭わされてみたりする男を描いた曲のほうが親近感が沸くというもんです。さて本題。待望のニュー・アルバム『Splinter』をリリースするオフスプリング。ご存知のとおり、彼らはビッグ・セールスを誇り、いまや米・若者文化の象徴となり、アナーキー・マーク入りの自家用ジェットまでをも所有するバンドなのだが……彼らの詞やプロモ・クリップときたら、友達に女を寝取られたり、黒人気取りの白人B・ボーイについてだったりと、まったくもって情けない主人公だらけ! それを一人称で歌う自虐的ユーモアが楽しい。今回のアルバムに収録の“Da Hui”にしてみても、屈強な刺青サーファーに海で溺れさせられ、あげく車までひっくり返される男が出てくる。

「〈Da Hui〉っていうのはハワイのサーファーたちで、一種のギャングみたいな集団なんだ。彼らは縄張り意識が強くて、自分たちの波を横取りする連中を袋叩きにしちまう。カリフォルニアからやってきたマヌケな白人サーファーが、波の中で〈Da Hui〉にビビってるさまを歌うのはおもしろいと思ってね」(デクスター・ホーランド、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 しかも、そこに出てくる七三分けの〈マヌケな白人サーファー〉がデクスターとヌードルスだったりするから最高だ! 成功者でありビッグスターでありながら、悪ぶったり大物ぶったりしない彼らの〈自然体〉な姿勢には恐れ入る。また、彼らにはハイセンスなアイロニーもあり。今回のアルバムはヴァラエティーに富んだものなのだが、なかでも“When You're In Prison”という曲は異色。30年代のスタンダードのようなうっとり調である。しかしながら歌詞に注目!

「これは、いかにして刑務所でレイプされることを防ぐかというアドヴァイスなんだ。〈シャワーを浴びているときに落ちた石鹸を拾うな〉──石鹸を拾うためには前屈みにならなきゃならないだろ?(笑)」。

 いや、誤解してくれるな。彼らはなにもジョークだけのバンドではない。ヴァラエティーとユーモアに溢れながらも、パワフルでスピーディーなオフスプリング節も全開だ!!

▼オフスプリングの代表作を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年12月04日 15:00

更新: 2003年12月04日 18:30

ソース: 『bounce』 249号(2003/11/25)

文/恒遠 聖文