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インタビュー

グッドフェローズ


『BAMUDA 58』『VEXING BULLET』という2枚のミニ・アルバムで、響きの魅力を活かしてビートに呼応する言葉と、圧倒的なパンチ力とエネルギーで衝撃を与えたGOODFELLASがついにフル・アルバム『CRAP』を完成させた。先の2枚で受けた衝撃をふたたびアルバムに期待していたのはもちろんだが、今作はそれ以上の意外性をも感じさせる内容になっている。

「2003年の1月くらいから制作に入ってたんですよ。1年を通じてずっとアルバムを作ってたんで、インターヴァルなしで来たじゃないですか。レコーディングして気付いたこととかいっぱいあるし、自分のなかの変化はすごいある」(GOUKI)。

「気持ち的な部分はより動いて、変化していくだろうし、それが作品に出てるのかな。初めの2作はひたすらラップをして、〈こういうこともできるぞ〉みたいな感じのが多かったけど、今回のアルバムはそういうことだけをやってるわけじゃないです。スキルを出していくだけじゃなく、自分の感情が出ちゃってる、っていうのはありますね」(KILO)。

 変化という部分は、彼らのスタイルではなく、むしろ彼らを取り巻く環境での面が大きいようだ。そこが感情に直結し、リリックにも表現されている。それは、音楽を志す者なら誰でも経験するであろう、目標への過程で感じる現実の厳しさや、そこに身を置く葛藤だ。

「アルバムを作り終えて、すごいスッキリしましたね。“Would you want”とか“タダノアソビ”とか、“Would you want”とかは特にそうなんだけど、人としてたぶん正しいことは言ってないと思う。いろんな曲があって、〈前向きにいこう〉みたいな曲が人として正しいのかもしれないけど、そういう気持ちになれない時期もあるわけで。でもホント、すごい近い位置で自分の気持ちを書けたな」(KILO)。

「ラップとちゃんと向き合える。前も向き合っていたんですけど、前よりもラップで生活してるっていうことを考えられるようになったし、もうちょっとラッパーとしての自分を固めたいな、っていうのがすごいあって。今回のも自分を出せたと思うんですけど、もっと自分の魅力というものを引き出していきたい。だから、いろいろ経験したり、見るのは大事だなと改めて思いましたね」(GOUKI)。

 アルバムを出せる喜びと共に、できることは何でもやりたい、という純粋な制作意欲の結果なのであろう、トラックメイカーの人選も彼らに近い人間から意外なメンツまでが揃い、個性的でGOODFELLASらしい内容となった。
「DJ WATARAIさんやタイプライターの曲みたいにイマっぽいのもあれば、刃頭さんやAPOGEE MOTORS、FUNK入道のトラックがあったり、聴いてて飽きないっていうか。そこの部分は変わってないけど、幅が広がった。全曲シングルで切れるようにっていう気持ちは変わってないですから」(GOUKI)。

 激しいビートからジャジーなトラック、ソウルフルな温もりを感じさせる曲……とトラックの幅はかなり広い。そうした内容は、現在3本のレギュラー・イヴェントを抱え、「全部が全然違うイヴェントなんですよ」というそれぞれの現場の特性が無意識に反映された結果なのかもしれない。ちなみに、アルバム・タイトルの意味は〈クソ〉。それはジャケットとも連動している。

「ケツの穴から俺らが出てきてるんですよ(笑)。クラップっていうと、手拍子(Clap)みたいな感じもあるけど……」(KILO)。

「要は、内から出てきたもの。自分が生活して吸収したものを出した、っていう感じなんですよ」(GOUKI)。

 完成したばかりのアルバムを前にして、ますます創作意欲が高まっているという2人。常に進化していくGOODFELLASから目を離してはいけない。

PROFILE

GOODFELLAS
それぞれソロMCとして活動してきた名古屋出身のKILOと東京出身のGOUKIが、99年に結成したラップ・デュオ。東京を中心に精力的なライヴ活動、イヴェント出演を繰り広げ、〈BBOY PARK〉登場などを経て徐々に注目を集めていく。ライヴと並行して、2000年に7曲入りのテープ・アルバム『ABSOLUTE』を自主リリースする。2002年には初のCD作品となるミニ・アルバム『BAMUDA 58』をリリース。同年末にはセカンド・ミニ・アルバム『VEXING BULLET』もリリースし、その後メジャーと契約する。多彩なトラックメイカーが参加したメジャー・デビュー作にして初のフル・アルバムとなる『CRAP』(ビクター)が2004年1月7日にリリースされる。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年01月22日 18:00

ソース: 『bounce』 250号(2003/12/25)

文/高橋 荒太郎