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インタビュー

OCEANLANE

81年生まれ世代が極自然に鳴らすラウドでアコースティックなパンク・ロック


OCEANLANEの二人。左からKay、HAJIME

 
 まるでラーズの名曲“There She Goes”のような甘酸っぱくてクラシカルなメロディーが上昇曲線を描いていく1曲目“Everlasting Scene”、USメロディック・コア譲りの疾走感のなかニューウェイヴィーで鋭角的なギターとリズムが暴れる2曲目“Sign”。この2曲の流れだけでOCEANLANEのファースト・アルバム『On my way back home』の内容は素晴らしいことを確信した。ゲット・アップ・キッズ、ヘイ・メルセデスなど海外のバンドと共振する高揚感と若い世代が極自然にロックをものにしているような感触。胸のすくような爽快感と共に『On my way back home』は駆け抜けていく。ヴォーカル&ギターのHAJIMEと共にメロディーメイクを手掛けるギタリストKayに訊いた。
 
 「メロディーがしっかりあって、そこに左右両方から違うギターのフレーズが絡んでくるっていうか。それによって両方が引き立つ。フレーズは大体家でデモ作ってるときに決まってきますね。無意識で夢中になってると出てくる」。
  
  豊かな発想に満ちたギター・フレーズをなぞるだけで、そのへんの凡百ロック・バンドとは違うクリエイティヴィティーを感じるはず。それは主旋律に対してなんの遠慮もすることなくラウドにフリーキーに主張するが、最終的に頭のなかに残るのは必ず主旋律とセットの音像。これはどちらも不可分のバランスでなければ成立するはずがない。パンク・ロックの影響下で鳴らされながらも、一方で『On my way back home』を通低するのは紛れもなくアコースティックな感触だ。
 
  「それはけっこう意識してて。全部アコギでできるような曲のほうが単純にキレイなメロディーが生きるかなっていう。裸にしてもOKっていうか。それをバンド・アンサンブルでさらにパワフルにするっていう方向性」。
  
  もちろんバンドの中核を担うソングライター、HAJIMEの存在を無視しては何もOCEANLANEの本質は語れないが、幼い頃は母親の影響でビートルズなども聴いていたというKayのメロディーに対する嗅覚はイイ意味でベタなもの。それに対する中途半端な照れがないところに81年生まれである彼の世代感が滲んでいるように思う。

「俺は基本的にキャッチーなものが好きで。みんなで大合唱できるようなのを目指してるんです。普通にAメロ、Bメロ、サビで盛り上がって、で、ギターソロみたいなのが大好きなんで。それがいちばんシックリくる」。

 テレビなどの影響から普通にチャゲ&飛鳥から入り、Hi-Standard、ニルヴァーナ、レディオヘッド、オアシスと音楽遍歴を重ねたKay。「日本ではMr. Childrenがいちばんスゴイと思う」と語る彼がハーフであるなんて誰も思わないだろう。アコースティックな感触とオルタナティヴなディストーション・ギターの歪みのなかに、もちろんHAJIMEとの共同作業のなかに、そんなKayのパーソナリティーの片鱗が写し込まれている。

「ケンカはもういっぱいします(笑)。いろいろ言い合って意見出して争っていかないといい音楽できないと思うんで、それはまあしょうがないかなっていう。俺けっこう遠慮しないんで」。

 OK。OCEANLANEの『On my way back home』を聴きながら生き生きとロックする若い二人の姿を思い浮かべることにしよう。

・OCEANLANE『On my way back home』収録曲目
1. Everlasting scene♪試聴する
2. Sign ♪試聴する
3. Ships and Stars
4. Haze in Heart
5. Million
6. Terminal
7. Ten Second Illusion
8. Broken Wings
9. Scent of the Air
10. Fade in Time

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2004年01月29日 14:00

更新: 2004年01月29日 18:46

文/内田 暁男