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インタビュー

KENJI TAKIMI(瀧見憲司)

ロックの興奮とダンス・グルーヴを兼ね備えた究極のミックスCDをリリース!!


 クルーエルのボス(いい響き)として知られる瀧見憲司さんが、初めてのミックスCD『SESSIONS Vol.2 THE DJ AT THE GATES OF DAWN -DANCESTONELIVE-』を発表しました。アルバムを聴いた個人的な感想をまず述べますと、ロックの、それも片面1曲ぐらいのどーっしりとしたアルバムを一気に聴き通した……そんな疾走感と充実感を楽しむことができる一枚でありました。ロック……小生がそう感じたのは、カルト“Assult On Sanctuary”や、最近のものではビッグ200の“Drum Spell”などのロック寄りのネタがミックスされているからではなく、もちろんローズバッドによるピンク・フロイド“Interstella Overdrive”のカヴァーがセレクトされているから……でもありません。フリークスやイジャット・ボーイズをはじめ、メトロ・エリア、ドック・マーティン、レイ・マン、DJガース……などなど、世の中的にはまさに今の旬ともいえる、UKのダブ・ハウスだったり、あるいは西海岸系のテック・ハウスだったり――残念ながらそういう単語で括られはじめている音楽たち――がこのミックスCDのなかでは、もともとの楽曲が持っていたフリーキーな魅力を取り戻していると感じたからです。そのフリーキーさ、そしてそのエロさにロックを感じてしまったからなのであります。まわりくどい言い方ですみません。そしてそれはなによりも瀧見さんのオリジナル・スタイルでもあります。

「イジャット・ボーイズはパブ・ロックだと思うんだよね。実際に話しても訛りが強くてなにを言っているのか分からなかったりするし(笑)。下町っぽいというか、イアン・デューリーっぽいというか」。

 なるほど、ミックスCDのおもしろさって、音楽の解釈を提示されるおもしろさなのかもしれません。耳覚えのあるあの曲が、なぜかいつもよりも魅力的に聴こえてきたらそれはきっと、DJのマジックなのであります。このミックスCDには、そのマジックがあります。「ミックスCDって、コンセプト・アルバムのようなものだから」と、さらりと言ってのける瀧見さん。小生が感じたのはコンセプトというよりも、フェチに近いかな。通底しているなにかが、身体に、もっといえば皮膚に働きかけてくる。音数の多いトラックが目立つのも、彼のフェチのひとつでしょう。  

「わりとそうかな。リフで引っ張るのが好きなんだよね。あとはベースラインに好みが現われていると思う」。

 それにしても、こんな風にダンス・ミュージックをプレイをする人って、海外でもあまりいません(笑)。2003年の東京でしか出現しないであろう、独特のミクスチャーが楽しめる希有な作品ともいえるでしょう。個人的に嬉しかったのは、メフィスト・オデッセイが選曲されているところ。

「メフィストのゼロ盤台って最高だよね。94~95年頃の。あとはディスコケインとかね。ハウスというか、音楽として良かった」。

 小生もこの時期、これがハウスならハウスは自分の好きな音楽なんだ、と気付いたクチなのであります。たぶんこのアルバムを聴いて〈ダンス・ミュージックもけっこうおもしろいじゃん〉、そう思ってくれるリスナーが増えそうな気がします。

「こういう音楽に興味がない人を巻き込みたいというのはあった。だから、わりと突っ込みのところはガシッと(笑)」。

 最後に、次はどんなミックスCDを作りたい?と訊いてみました。

「次はダンス・ミュージックじゃないのでやりたいなぁ。サイケデリック・ロックとか」。

 それぜひ、個人的に聴きたいです(笑)。誰か、よろしくネ!

▼瀧見憲司が選ぶ、今回のミックスCDのサブテキスト的作品。


カルトのベスト盤『High Octane Cult』(Warner Bros.)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年02月05日 18:00

更新: 2004年02月05日 18:57

ソース: 『bounce』 250号(2003/12/25)

文/MOODMAN