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インタビュー

Courtney Love

ブランクは関係なし! 女傑コートニー・ラヴのソロ・アルバムが誕生!!


 グランジの轟音で幕を開けた激動の90年代を象徴する女性ロックスター。いやいやもっと正確に言えば、90年代を激動へと導いた張本人とも言うべきロック・イコンの一人である女傑コートニー・ラヴの、ホールの最終作『Celebrity Skin』から6年目にして届けられた初のソロ作品『America's Sweetheart』。これが予想を大きく上回る、突き抜けたようにアッパーで攻撃的、〈豪快〉を通り越して〈爽快〉とすら言える起死回生の傑作に仕上がった! しかし、ここまで長いブランクがあったのは一体なぜだろう?

「納得いくような曲が2年間くらい書けなかったのよ。その後さらに何も書きたくない!って時期まであったわ。でも“Hold On To Me”(アルバム収録のジェントリーな好トラック)を書き上げて、またやる気が出てきたの」。

 書けなかったから歌わなかった──なんとも彼女らしい素直な理由だが、だからこそ完成した音楽には全幅の信頼を置いている。そしてそんな彼女のもとに、多彩な人材が集まってくるのも当然であろう。

「スタジオ専門の連中は雇いたくなかったの。今回参加してくれた人は、皆この作品が完成するうえで大事なメンバーなのよ」。

  そのメンバーたちが雑多でおもしろい。曲作りに元4ノン・ブロンズのリンダ・ペリー、超大御所のバニー・トーピン。さらに元MC5の爆裂ギタリストであるウェイン・クレイマーや、元ピクシーズのキム・ディールなどなど。特にリンダとの共同作業は大いに刺激的だったようだ。

「私たちはジョンとポールみたいな関係で曲作りに挑んだわ。彼女のスタジオに入ったとき、ロバート・プラントの写真が目に留まったの。それからグレース・スリックがジャニス・ジョプリンにキスしてる写真。それでピンときたの。これはもう絶対にいい経験ができるわ!って」。

  彼女の口から飛び出す、数多のロック・レジェンドの名やウェイン・クレイマーの参加からもわかるように、本作にはかつて彼女が体験した〈ロック黄金期の昂揚感〉みたいなものが、しっかりと確信犯的に刻印されている(なにしろ“Zeplin Song”なんて曲まである!)。それはきっと安易な昨今のロックンロール・リヴァイヴァル・ブームに対しての彼女なりの返答であり、ルーツを見つめ直したうえで新世紀に対峙する自分自身への決意表明でもあるはずだ。

「アルバム・タイトルはべつにアイロニックな意味ではないわ。皮肉っぽいことを書く時代はもうとっくに卒業しちゃったの、あたし」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年03月04日 17:00

ソース: 『bounce』 251号(2004/2/25)

文/北爪 啓之