インタビュー

Blaze

円熟味を増したソウルフルなグルーヴ・マエストロ、ブレイズが美しいニュー・アルバムを完成させた!!


 ニュージャージーのハウス・ユニット、ブレイズ。〈炎〉を表すその名に違わない〈焔〉のようなヴォーカル処理。さらに、そのゴージャスなメロディー展開には嫉妬のひとつも覚えてしまいそうだが、思わず身を任せてしまう。

 彼らが2001年にリリースしたアルバム『Natural Blaze』が1万枚のセールスを記録したこと。それは異例とも呼べる快挙だったが、その後の歩みも申し分のない密度を見せてきた。一部で〈シェルター系(=ティミー・レジスフォードの音楽嗜好)〉と呼ばれたハウス・アプローチにはさらに研磨が加えられ、その軌跡は前作の『Spiritually Speaking』に記録されている。が、通算4枚目となるニュー・アルバム『Keep Hope Alive』は、そこからやや軌道修正された。プロデューサーのケヴィン・ヘッジはこう話す。

「ブレイズとしては、一貫して〈愛〉について語ってきたつもりだけど、今回はそこに、この地球で生きていく上での〈希望〉を加えた。困難な状況に喘ぐ人たちに比べて、僕らは遥かに恵まれた立場にいる。だからユニヴァーサルな考え方で、彼らに〈与えて〉いきたいんだ。そんなコンセプトのもとに、さまざまなヴォーカリストが集まってくれた」。

 コンセプトは、セールスの一部をエイズ・アクティヴィストに寄付するというプランにも結実している。それは絢爛豪華なゲスト陣の心すら動かした。メンバーのジョシュ・ミランはもちろん、元テン・シティのバイロン・スティンギリーやアーノルド・ジャーヴィス、ケニー・ボビアン、さらにバーバラ・タッカーやウルトラ・ナテ――いずれ劣らぬUSハウス・シーンのレジェンドたちである。アルバムのタイトル・トラックでは、彼ら全員による一大コーラス劇も聴ける。

 ただ、こう思う向きもあるだろう。これだけのヴォーカリストを集めれば、それなりのクォリティーが得られて当然じゃないかと。しかし、ヴォーカリストの存在感を生々しいまでに引き出したケヴィン・ヘッジの力量は、いまやそんな反論も軽くいなす〈匠〉の世界にある。

「アルバムの最初に入っている“We Are One”は、アース・ウィンド&ファイア的なコーラス・アンサンブルを意識している。僕らは彼らと同じ文脈で音楽をやっていきたい」。

 ケヴィン・ヘッジはこんな台詞をも口にしたが、曲のクォリティーには多分な説得力がある。84年の結成から数えて、プロデューサー畑でキャリアは20年。やはり伊達じゃない。

▼ブレイズの作品を紹介。

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掲載: 2004年03月18日 12:00

更新: 2004年03月18日 19:14

ソース: 『bounce』 251号(2004/2/25)

文/岡本 俊浩