インタビュー

Katy Rose

目下米国メディアを騒然とさせている天才少女、ケイティ・ローズがデビュー・アルバムを発表!!


 ケイティ・ローズというシンガー・ソングライターは、米国のメディアではしばしば〈アンチ・ブリトニー〉と位置付けて紹介されている。なぜなら彼女は、若い女性=軽めのポップ・ミュージック、という通説に当てはまらないからだ。この17歳の女性はむしろ、痛いほど切実な歌を通じて〈若いことは辛くて苦しい〉という現実を突きつけている。とはいえ、ケイティがある意味で早熟であることは間違いないだろう。両親はミュージシャンで、LAのショウビズ界に接しながらボブ・ディランやレッド・ツェッペリンを愛聴して育ち、「〈セックス&ドラッグ&ロックンロール〉の世界を間近で見てきたけど、困ったことに嫌悪感より憧れが強かったのよね」と苦笑する。と同時に、反抗心が強いこともあって同世代の子供たちに馴染むことができず、10代前半は精神的に落ち込んで暗い時期を過ごしていたという。

「あの頃は自分という人間がイヤで仕方がなかった。通っていたミッション系の学校では悪魔と思われてたくらい(笑)。わたしも平気なフリして影で独りで泣いてたんだけど、後悔はしてないわ」。

 そう、なぜなら彼女は、まさにロックをプレイして詞を書くことで心を癒すようになり、14歳のときに軽い気持ちで作ったデモテープをきっかけにしてレコード会社と契約。父親のキム・バラード(ポコに在籍していたキーボード奏者)をプロデューサーに、ここに登場するアルバム『Because I Can』を制作するに至ったのである。

「わたしと父は、音楽作りにおいてはプロとしてお互いを尊重しているの。ブルーな気分にはスモーキーな音、怒りにはアグレッシヴなギターというふうにアレンジはすべてわたしの感情を反映しているし、ときには〈そんなダサい音は絶対にお断り〉と正直に言ったわ(笑)」。

 これらの曲は13歳から15歳の間に書かれたもので、学校での体験をはじめ当時の彼女の自分との闘いが赤裸々に綴られているが、究極的にはどれもポジティヴな自他への応援歌なのだと彼女は説明する。

「その昔、〈将来は世界中を旅して、困ってる人たちを助けたい〉と日記に書いたことがあるんだけど、今こうして音楽を通じてそれを実行しているわけだから、きっとそういう運命にあったんだと思ってるわ」。

▼ケイティ・ローズがフェイヴァリットに挙げるアーティストのアルバムを紹介。

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掲載: 2004年04月15日 16:00

更新: 2004年04月15日 19:20

ソース: 『bounce』 251号(2004/2/25)

文/新谷 洋子