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インタビュー

Boyz II Men

あのトップ・グループの新作は何と全曲がカヴァー! 原点回帰したハーモニーに酔いしれよう!


 バカ売れしてるアッシャーの『Confessions』に“Throwback”という曲が入っていて、そこでアッシャーは〈あの頃の2人に戻れたら、どんなにいいだろうな〉と歌っている。〈Throwback〉とは、つまり〈昔に戻る〉といった意味で、ボーイズIIメンはその言葉を新作のタイトルに用いた。では、ボーイズIIメンにとっての〈あの頃〉とは、どの頃なのか。それはレコード会社からこれこれこういう売れる曲をこういうプロデューサーで作れなどと言われることもなく、ただ自分たちの好きな歌を好きなように歌って楽しんでいた〈あの頃〉なのだろう、きっと。

「オレたちはもともと、音楽業界で成功したいとか考えて結成したわけじゃないんだ。好きで歌っていたのが人の目に留まって、たまたま作品を作れて、そのままデビューしたのがオレたちなんだよな」(ネイザン・モリス)。

 何もネイザンは後ろ向きな意味でこんなことを言っているのではない。ただ、モータウン→ユニバーサル→アリスタとレーベルを移り、ここ数年はどこか本意の活動ができないでいたこともあり、歌いはじめた頃の衝動を彼らが忘れそうになった時があるのもまた事実。自分たちで会社を立ち上げ、自分たちで仕切り、自分たちの歌いたい曲だけを歌ったこの新作を『Throwback Volume 1』と題したのは、あの頃の衝動を取り戻し、原点に立ち返ろうとする意志の表れなのだ。

「大手レコード会社が関わっていた時には、スタジオ入りの時間が決まってて、そこにプロデューサーがいて、オレたちは決められた時間にそこに行って歌えばよかった。が、今回は曲を選び、スケジュールを決め、アレンジをして、プロデュースもして、歌ったうえに、ミックスまで関与した。制作の最初から最後までを自分たちでやることが、オレらにとって何より大事だったんだ」(ワンイェ・モリス)。

 ダズ・バンド、アル・グリーン、テディ・ペンダーグラス、デバージ、ホール&オーツまで。選曲もいいが、原曲の良さを損なわぬよう意識されたアレンジと歌いっぷりが実にいい。

「他にも歌った曲はあるけど、オリジナルのフィーリングをうまく掴んでいないものにはダメ出しをした。オレたちは何でも歌えるから、それは歌唱力の問題じゃなくて、ヴァイブの問題だったんだ」(ショーン・ストックマン)。

 原点回帰の成果……でしょう。

▼原曲を収録したアルバムを一部紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年05月20日 13:00

更新: 2004年05月20日 16:39

ソース: 『bounce』 253号(2004/4/25)

文/内本 順一

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