The Datsuns
御大により、キンキンのチューニングが施されたダットサンズのセカンド・アルバムが誕生だ!
「ワイルド・ヒップ・シェイキン・ロックンロール・バンド!」──これはダットサンズを一言で表現するならば?という質問に対する、クリスチャン・ダットサン(ギター)の答えだ! このバカバカしくもカッコイイ呼び名こそ、理屈よりも感覚でロックする彼らの本質を捉えた至言である。そんなダットサンズによる待望のセカンド・アルバム『Outta Sight/Outta Mind』は、前作『The Datsuns』同様にワイルドなロックンロール・スタイルが一気通貫しつつも、メロディーの奥行きとサウンドの整合感を格段に増したハイエナジー&ハイブリッドな傑作に仕上がっている。
「1枚目では初期衝動そのままのバンドをさらけ出したけど、今回は曲作りにすごく時間をかけたんだ。〈ロックンロール〉とか〈ヘヴィー・ロック〉とか言われる前に、まずはイイ曲を書くバンドだって思われたいからね」(ドルフ・デ・ダットサン、ヴォーカル/ベース)。
「メロディーや音楽性の幅を広げるってことはつまり、自分たちの成長にも繋がるわけだからね」(マット・ダットサン、ドラムス)。
なるほど。名刺代わりのデビュー作という土台が出来ているぶん、本作では音楽的深化に重点が置かれたわけだ。その深化に一役買っているのは、プロデューサーである元レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズであるのは間違いない。
「AC/DCのリフはブギ(勢い)、ツェッペリンのリフはグルーヴ(揺れ)、俺たちはその両方をめざしている」(フィル・ダットサン、ギター)と語るほど影響を受けまくっている大先輩との作業は、非常に有意義なものだったに違いない。
「煮詰まったときなんかに凄く的確な指示を出してくれたよ。でも決して〈俺流〉を押し付けるわけでもなくて、いわば良き相談役。今作の精神的支柱だよ」(ドルフ)。
ジョンの起用によって、彼らがより70'sロック的な質感を会得したことは確かだけど、〈本作=古臭いロック〉と捉えるのはナンセンスだ。
「若い連中が初めてストーンズを聴いて感銘を受けたのなら、古い新しいなんて関係ないことだろ? 俺たちは古いロックをやってるわけではなくて、常に若者の心を掴む音楽をやっているんだ」(クリスチャン)。
確かにダットサンズの音楽を語るのに、古いとか新しいとかいう価値観は不要だし、ハードロックだガレージだなんてカテゴライズも無用である。勢いついでに言ってしまえば、彼らのサウンドには思想や理屈や憤りも希薄だ。そんなもんクソくらえとばかりに、ブッ太いギター・リフ一発で問答無用にブチかますワイルド・ヒップ・シェイキン・ロックンロール! カッコイイってことは、つまりそういうことなのだ!