こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

NINA SKY


「ニコールはすごく落ち着いてるけど、凄くハキハキ物事を言ったりもする。それにいろんな楽器も弾けるのよ」(ナタリー)。

「ナタリーは、あたしよりは女らしくて情熱的。音楽の才能もあるわ」(ニコール)。

 お互いをこう分析するニーナ・スカイは18歳の双子から成る女性デュオ。ダンスホール・リディム〈Coolie Dance〉に乗って彼女らが歌う軽快なフロア・キラー“Move Ya Body”にヤラれた人も多いはずだ。ROCK CITY制作によるワンウェイ・アルバムもあったし、〈Coolie Dance〉は日本でも馴染み度の高いリディムだろう。まあ、1年半ほど前にルミディーが〈Diwali〉使いで脚光を浴びたことを思い出せば、リディムの上にはまだまだ二匹も三匹もドジョウが落ちているということですな。

 ともかく、同オケを用いたMrヴェガスの“Pull Up”(ニコールいわく「大好きな曲よ。ヴェガスとコラボできたら凄いわよね!」)が西海岸を発火点にヒットしていたことも相乗効果的に騒ぎを大きくした“Move Ya Body”。その大ヒットの裏にはNYのラジオ局〈HOT97〉の人気ヒップホップDJ、サイファ・サウンズの仕掛けがあった。同曲には〈HOT97〉でボビー・コンダースとショウをやっているレゲエDJ=ジャバも迎えているし。「サイファが〈Coolie Dance〉で曲をやろうってアイデアを出したの。あたしたちの曲がクラブとかでかかっててみんなが踊ってるなんて最高よね」(ナタリー)と本人たちは満足げだが、一方で、当の彼女たちの歩みはあまり知られていない。ふたりはクイーンズに育ち、カルチャー的にも音楽的にもさまざまなフレイヴァーを吸収して育ってきたという。

「小さい頃からずっとヒップホップが大好きだったの。最初に買ったCDは、クイーン・ラティファの“U.N.I.T.Y.”よ。いろいろな音楽を聴いてきたけど、ヒップホップの影響がいちばん大きいと思うわ」(ニコール)。

 双子だからか音楽の好みなんかも似通っていたそうだ。7歳の頃からいっしょに歌いはじめたふたりは、それからずっと姉妹で活動してきた。ロウティーンの段階でオーディションなどを受けはじめ、そこで知り合ったのが現在も彼女らを支えるプロデュース・チーム=ジェットソンズだ。そして雌伏の時を経て、“Move Ya Body”がネクスト・プラトゥー(懐かしい!)からインディー・リリースされるに至る。ただ、匿名性の強かったヒット・シングル以上に彼女ら自身の存在感を感じられるのは、今回のファースト・アルバム『Nina Sky』ということになるだろう。

「“Move Ya Body”1曲でアルバム契約が決まって、制作に取りかかることになったんだけど、アルバムをやるからって1から始めたわけじゃないの。以前にレコーディングしていた曲も4曲収録してるし、すでにアイデアがあったものも多かったのよ。今回は詞を全部あたしたちが書いて、メロディーやアレンジにも自分たちの意見を反映させた。だからアルバムのタイトルも『Nina Sky』にしたの」(ニコール)。

 その言葉をそのまま受け取って『Nina Sky』を聴けば、彼女らが即効型のフロア曲にのみフォーカスしているのではないことがよくわかる。例えば、ベティ・ライトを迎えた“You Deserve”や、ナタリーのお気に入りだというアル・グリーン使いの“Surely Missed”など、むしろテンポを落としてじっくり歌を聴かせるストレートなR&Bチューンにこそ彼女らの美しさを見つけることができるからだ。

「あたしたちは一定の型に縛られるのがイヤなの。だから、常にオープンにチャレンジ精神を持っていたいと思ってる。いろいろな分野の人たちといっしょに曲を作りたいわね。ちなみにT.O.K.とリミックス曲をやったばかりなのよ」(ニコール)。

 ところで、双子って私生活で好みの男性も同じタイプだったりするのだろうか。

「それはないわね。あたしたち、男性の好みは全然違うから!」(ニコール)。

 すみません。でも、こっちは目移りしちゃうわけでして……。

PROFILE

ニーナ・スカイ
プエルトリカンのニコルとナタリーによる双子デュオ。86年にNYのルーズヴェルト・アイランドで生まれ、クイーンズに育つ。7歳の頃からふたりで歌うようになり、14歳の頃にはオーディションやタレント・ショウなどに参加。そのさなかに出会ったプロデューサー・チーム、ジェットソンズと共に楽曲を作りはじめるようになる。2004年初頭に、ダンスホール・リディム〈Coolie Dance〉を用いたサイファ・サウンズ制作のデビュー・シングル“Move Ya Body”をネクスト・プラトゥーよりリリース。同曲がラジオを発端に大ヒットを記録し、ユニバーサルと契約。このたび、待望のファースト・アルバム『Nina Sky』(Next Plateau/Universal/ユニバーサル)がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年07月29日 11:00

更新: 2004年07月29日 18:41

ソース: 『bounce』 256号(2004/7/25)

文/出嶌 孝次