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インタビュー

My Chemical Romance


〈Warped Tour〉への参加や、ユーズド、ストーリー・オブ・ザ・イヤーといったエモ/スクリーモ勢との共演で着実に人気&支持を獲得し、いまやUS/UKのみならず世界のロック・シーンまでをも呑み込もうとしているニュージャージー出身の5人組、マイ・ケミカル・ロマンスが、メジャー・デビュー・アルバム『Three Cheers For Sweet Revenge』をリリースした! 〈激情〉というスパイスをふんだんに効かせたメタリックなハードコアを軸に、ミューズにも匹敵する過剰なまでにドラマティック&スリリングに展開してゆく叙情メロディーと、グリーン・デイやサム41好きのツボもチクチクと刺激する超~ポップなテイストが三身一体となり〈黄金のトライアングル〉を形成した今作は、要するにロックがいま必要としているものすべてを内包した〈新たなるマスターピース〉なのである。今後シーンは、このアルバムを中心に回っていく、といっても過言ではないだろう。

「俺たちは音楽を作る際に、制限を設けないようにしてるんだ。そして、そうやって取り組んで出来たこのアルバムには凄く満足しているよ! アイアン・メイデンやハロウィンなんかのヘヴィメタル・バンドが大好きだったんだ。その後パンク、そしてブリット・ポップにハマったのさ。その3つのまったく違う要素が、俺たちのサウンドのベースにあるんだ」(ジェラルド・ウェイ:以下同)。

 なるほど、納得である。こうした異なる音楽を融合/再構築→昇華し生み出されたマイ・ケミカル・ロマンス・サウンドは、〈メロディック・パンクの突然変異形〉〈ハードコアと青春パンクの偶然的遭遇〉などさまざまな呼び方ができるが、とにかく彼らの作り出すサウンドは決して過去の音楽の焼き直しに留まらず、完全なるオリジナリティーと完成度を誇っており、ただただ圧倒されるし、無性に興奮させられる。

「自分たちの人生に満足していなかったから」という理由でバンドをスタートさせ、インディー・シーンでツアーに明け暮れていた彼ら。

「インディーを離れようなんて思ってもいなかった。俺たちの関心はひたすらツアーをすることだったんだよ」。

 そして、インディーからファースト・アルバム『I Brought You My Bullets You Brought Me Your Love』が発表される。以前から彼らに関心を寄せていたメジャー・レーベルは、これをきっかけにマイ・ケミカル・ロマンス獲得に向けて行動を開始。しかし彼らは、この誘いを「興味がない」と言ってしばらく断り続けていたという。だが、時代が彼らを放っておかなかったのだろう、ほどなくして彼らはメジャー行きの決断を下した。その後、事はトントン拍子に運び、このたびのメジャー・デビューと相成ったわけだ。しかし活動の場がどこであろうと、彼らの強靭な意志は決して変わることはないだろう。次の言葉を聞いてそう確信した。

「俺たちの音楽の核にあるのは誠実さ、本心、正直な気持ち、嘘を売らないこと。これらを信念として貫いているんだ。正直でいられなくなったときは、バンドの終わりを意味するだろうしね……」。

 そんな彼らは、今年8月に行われる〈サマソニ〉で早くも来日が決定している。一日のなかでもっとも大切で神聖な時間がライヴと語る彼らだけに、否応にも期待は高まるというもの。

「スッゴク楽しみなんだ! 日本に行くのは俺たちの夢だったしね。君たちのためにロックしに行くからな! そして最高の気分になってくれたら嬉しいよ!」。

 マイ・ケミカル・ロマンス──コイツらが、今夏の気温をさらに上昇させることは間違いなさそうだ。みなさん、体力をつけて待ち構えましょう。

PROFILE

マイ・ケミカル・ロマンス
2001年、ニュージャージーで結成。ジェラルド・ウェイ(ヴォーカル)、レイ・トロ(ギター)、マイキー・ウェイ(ベース)、フランク・レロ(ギター)、マット・ペリシアー(ドラムス)で構成される5人組バンド。ライヴが話題を呼び、スクリーモ・シーンを中心にファンを獲得する。サーズデイのジェフ・リッキーがプロデュースを務めた2002年のデビュー・アルバム『I Brought You My Bullets You Brought Me Your Love』がメディアから高い評価を受け、〈2004年に最注目の新人〉として新作への期待を高める。このたびハワード・ベンソンを迎えて制作されたメジャー・デビュー・アルバム『Three Cheers For Sweet Revenge』(Reprise/ワーナー)の日本盤がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年07月29日 11:00

更新: 2004年07月29日 19:26

ソース: 『bounce』 256号(2004/7/25)

文/渡辺 貴仁