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インタビュー

DOLCE

あらゆる感情を率直に表現しつつも、いまだ謎深い4人。新作に窺える斬新なスピリットとは!?


 すべてをさらけ出すような、すべてを拒絶するような、そんな強烈なライヴで話題を集めているDOLCE。男女ツイン・ヴォーカルが叩き出す楽曲は、まるで感情そのもののように起伏が激しい。中心メンバーのTSUKASA(ヴォーカル/ギター、発言:以下同)が語ってくれた。

「ライヴハウスっていうと楽しむ場所っていう認識があるじゃないですか。でも、そればっかりじゃなくてもいいと思う。もっと〈弱さ〉とか〈悩み〉とか、そういった部分を出したっていいんじゃねえのかなって」。

 彼らのセカンド・アルバム『GOD bless you』は、ポップからハードコアまで軽々と呑み込んだ濃密なロック・アルバムだ。

「まず頭の中に〈GOD bless you〉っていうタイトルの映画を思い描いたんです。その映画のサウンドトラックのイメージで、このアルバムを作りました」。

 しかし英語で歌われ、歌詞はクレジットされないので、そのストーリーは直接的には伝わってこない。

「それでいい。物語を押し付けるつもりはないんで。それぞれで想像してもらえばね」。

 あるいは以下のような発言が、本作をより深く理解するためのヒントになるかもしれない。

「人間って生まれた瞬間から〈死〉というダークなものに向かって走ってて。その中で、いかに楽しく快適に生きていくかっていうのが人生なわけでしょ。つまり死に向かって楽しんでる。それってすごい矛盾ですよね。そこに俺は興味があるんです」。

 また、本作にはLOST IN TIMEの海北大輔、LONG SHOT PARTYやHAWAIIAN6の面々が参加。

「みんな友だち。まず人間として好きになって、それから音楽も好きになったヤツばっかりです。しかも、さっき話した頭の中で作り上げた映画の出演者でもあるんですよ」。

 美しさと醜さ。愛情と憎悪。激痛と快楽。そういった相反する要素を平然と内包するDOLCEは、それを武器に聴き手の心を激しく揺さぶる。それは生きるという行為の真実に近づこうとして必死にもがいているようにも感じられる。

「誰かが笑ってると、その裏側にある感情を探りたくなるんです。そういう人間が生み出した音楽だっていうことですよ」。

▼参加したアーティストの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年08月05日 18:00

更新: 2004年08月05日 20:34

ソース: 『bounce』 256号(2004/7/25)

文/大野 貴史