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インタビュー

eico

まっさらな空間をナチュラルな歌声で色付けるシンガー・ソングライターのファースト・フル・アルバム!


 まるで太陽に向かって真っ直ぐに咲く、花のよう。彼女の歌にはそんなことを感じさせる何かがある。 2002年にRaggae Disco Rockers(以下RDR)の“太陽の石”にヴォーカル参加、翌年メジャー・デビュー・ミニ・アルバム『風花』をリリースし、着実に注目を浴びつつあるeicoだ。盟友RDRとタッグを組んだレゲエ・マナーなトラックや夏の日差しを感じさせるようなアッパーなダンス・チューン、物憂げなピアノと胡弓の調べが絶妙なバラードなど、彼女が感じたさまざまな風景が凝縮された初のフル・アルバム『空の話』は、私たちにも多くの世界があるということを気付かせてくれる、素敵な魔法のようなアルバムだ。

「『空の話』っていうのは、アルバム13曲中に空の話をいっぱいしてるなって思って付けて。あと、eicoはよく窓から空を見るんですけど、空にはいっぱいいろんな景色や模様があって、ほかの誰かにもそういう模様がある。けれど、空は空。私は私。斯くたるものは変わらずしても、いろいろあるんだよっていう意味もありますね」。

 変わるもの、変わらないもの。それは毎日の生活だったり、時には旅先での風景だったりする。すべての作詞と作曲を手掛けている彼女は、その時々の視線を実に自然体で曲に取り入れ、歌に昇華する。

「いまeicoは都会に住んでるけど、都会のことは知らないんです。なので都会的なことを知らないから、知らないことは歌詞に書けないんですよ。たまに、こんな感じの歌詞書いてみたらって言われることもあるんですけど、もう〈書けない!〉って思って(笑)。その時提案されたのは、〈ウキウキしたデートの前日〉みたいな詞で、でもeicoはそんなこと思わないし、デートなんて流れでしたいですもん! なので、こういう感じに(詞は)作れないんだってことがわかりましたけど(笑)。歌は全部ほんとの話ですからね」。

 彼女の歌に不思議な生命感や強さが感じられるのは、きっと歌うことや生きていくことに対して真摯であろうとするからなんだろう。彼女はこう言う。

「曲を作ったり歌ったりするのは、それが人生の中で楽しく幸せに過ごせるからやっているんです。それも大好きな人たちに囲まれて、自分も愛していて。でももしそれが少しでも楽しくなくなったり、曲を作ることや歌うことが悲しくなるようなら、それは意味のないことなのでやらないって感じです」。

〈ナチュラル・ボーン・アーティスト〉と、彼女に声をかけたくなった。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年08月12日 12:00

更新: 2004年08月12日 17:27

ソース: 『bounce』 256号(2004/7/25)

文/aokinoko