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インタビュー

the ARROWS

抜群のチームワークで純度の高いポップ・ソングを聴かせる名古屋の4人組が登場!


 ビートルズ、オアシス、ストーン・ローゼズ。99年、名古屋での結成当時にthe ARROWSの4人の未来にはそんなバンドたちが思い描かれていたという。そして5年を経たいま、セカンド・アルバム『スターサーカス』にはそんなバンドたちと同じぐらい重要な〈気配〉が濃密に貼り付く。サニーデイ・サービス、フィッシュマンズ。

「まず光栄です。ありがとう。曽我部さん、佐藤くん、この2人には今も影響を受け続けています。彼らの音楽がいつもいっしょにいるんです。男ならあんなふうに優しくなろうなんて思って音楽してます、暮らしてます」(坂井竜二/ヴォーカル:以下同)。

 そんな〈気配〉に守られながら、the ARROWSは素敵な言葉、多彩なアレンジ、ポップなメロディーを誰にもできないやり方で踊らせる。その奥に見るのは、セッションの段階でギター、山内貴之が閃くことが多いという印象的なフレーズを軸に坂井竜二の〈歌〉と演奏の強固な信頼関係が築かれていく様だ。

「今回は〈歌〉のスキマ──それはヴォーカルであったりメインを行くギターフレーズだったりするんですが──も含めて〈歌〉と演奏の掛け合いがやりたかった。小学生のとき体育の授業でサッカーをやりました。僕は運動からっきしダメなんですが、教師が〈こらー、ボールに全員集まるなー!〉っていう下手なサッカーみたいな音楽ってうるさいでしょ? キレイなパスって、僕サッカーわかんないけど観てて〈わースゲー〉って思うから。やってる本人も気持ちいいんだ。信頼関係信頼関係」。

 半径50mの日常と宇宙を行ったり来たりしながら、『スターサーカス』は極めて純度の高いキラキラした物語を紡ぐ。the ARROWSの音楽が生まれる瞬間に想いを馳せてみたら、その〈キラキラ〉のヒントがあった。

「部屋の掃除をした後の夕方が好きなんです。このタイミングで出来た曲がほとんどですよ、僕。なんですかね? モヤモヤをきれいにするっていう部分で同じなのかも知れません。ほんとに、掃除すると出来るんです」。

『スターサーカス』はthe ARROWSからのキラー・パスである。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年08月19日 15:00

更新: 2004年08月19日 23:29

ソース: 『bounce』 256号(2004/7/25)

文/内田 暁男