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インタビュー

Crown City Rockers

名前が変わった。メンバーも変わった。でも彼らのこれ以上ないグッド・ヴァイブだけは変わらない!!


 年々多様化するヒップホップ・シーンにおいて、ドラム、ベース、キーボードといった生楽器奏者にサンプラー、そして2MC、と当時としてはユニークな編成で登場し、珠玉のメロウ・グルーヴを詰め込んだデビュー作『One』(2002年)でたちまち多くのヘッズから注目を集めた彼ら……そう、あのミッションがクラウン・シティ・ロッカーズと改名し、本格的に活動を開始した。

「改名は(MCの)モー・ポープがもっと子供といっしょに過ごしたいという理由から地元ボストンに引っ越してしまったっていう〈バンド自体の変化〉とも関係があったんだけど、ヨーロッパに同じ名前のロック・バンドがいたことがいちばん大きな理由だったんだ。だから、その改名とモーの脱退が新しい方向へと進むきっかけになった、って感じかな」(ウッドストック、MPC)。

 ちなみにそのモーは、現在あのエレクトリック(・カンパニー)で活躍中だ。そして本隊は〈新しい方向〉へと進むべく、日本独占リリースとなった『Crown City Rockers』に続き、いよいよ正式なファースト・アルバム『Earthtones』を完成させた。「今回はメンバー5人全員の意見と才能が反映されたもので、いままで以上の創造性と多様なスタイルが採り入れられてるんだよ」(ウッドストック)との言葉どおり、今回もあの心地良くとろけるようなグルーヴが全編に漂うなか、ジャズやフュージョンが本来持つ高揚感や躍動感みたいなものも漲っており、ウッドストックが「より〈グループとしての作品〉になった」と話すとおりの仕上がりに。その充実した仕上がりには、もはやライヴ・バンドとしてのある種の到達地点に辿り着いたのでは?とまで思わせられるほどだ。また、彼らの絶好調ぶりを裏付けるように、今回はプレート・フォーク・ナイフ・スプーンという別ユニットでの作品『Plate Fork Knife Spoon』も同時リリース。同作はソウライヴのギタリストであるエリック・クラズノーも参加。「レコーディング自体は簡単だったよ。とりあえず録音ボタンを押して後はその場で曲を作っていくだけ。とにかくリラックスしてプレイするだけだったな。楽しかったよ」(ヘッドノディック、ベース)と淡々と言ってのけてはいるものの、これまた濃厚なジャズ・ファンク・アルバムに仕上がっている。この2作品を聴けばもともとヒップホップ・バンドとして出発した彼らが飛躍的な成長を遂げていることがわかるはず。ゆえに祈・来日!! 「近々行きたいな。日本のファンの前でライヴができる日が待ち遠しいよ」(ウッドストック)という彼らの言葉を信じて待とう。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年09月02日 13:00

更新: 2004年09月02日 17:59

ソース: 『bounce』 257号(2004/8/25)

文/卯之田 吉晴