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インタビュー

MOTORWORKS

熟練のポップ職人たちが集った、60's~00'sなロック絵巻


 MOTORWORKS?? どこの誰だか知らないけれど誰もがみんな知っている……とは、このバンドのこと。スクーデリア・エレクトロでの活動以外にもサウンド・プロデューサーとして活躍する石田ショーキチ(ヴォーカル/ギター)、LR活動休止以降はcurve509やScience Ministryなど多岐に渡ってのバンド/ユニット活動を展開する黒沢健一(ギター/ヴォーカル)、スピッツの田村明浩(ベース)、以前から石田、黒沢の活動をサポートしてきたホリノブヨシ(ドラムス)というのがその正体だ。スーパー・バンド、ドリーム・チーム、ロック界の長嶋ジャパン……まあ、いろいろと形容されてもおかしくはないメンバーである。

「ガキのころみたいに、好きな音楽だけをコピーするバンド、自分が好きなアーティストになりきるようなバンドをやりたいと思って、友達に電話して……それがこのメンバーです! で、やりたかったのは、60年代のフーとかキンクスとかビートルズとか、リズム&ブルースにルーツを持つイギリスのビート・バンドのなりきり!」(石田)。

 スタジオ・ワークを中心とした、どちらかといえば〈密室型〉ともいえる彼の音楽活動からすれば、そんな〈熱っぽい〉切り出しは、少々意外でもある。

「僕らがデビューした90年代前半って、熱いもの、ホットなものはダサいと思われていた時代なんですよね。どれだけクールで、ヒップであるかっていうことが優先されたような時代。で、そんな時代に第一線にいた人間って、いまその反動があるような気が……オレはするんだけどね」(石田)。

 これまでのキャリアのなかであれやこれやを繰り返した末、ふたたび音楽家魂に大きな火が点き、それを3人にも引火させたわけだ。

「とにかく、スタジオは爆笑しっぱなしでしたね(笑)。現場がとにかく楽しかった。こりゃダメだなって思ったら、この4人の中からだったらまた別のアイデア出るでしょ、って次に行けちゃう信頼感っていうのもあったし。気楽なんだけど、お互いの信頼感が強いなかで進んだ。作業してるときは思わなかったんですけど、アルバム出来上がってみると、コピー・バンドをやるために集まったメンバーが〈あっ、みんなプロだったんじゃん!〉みたいなね……わかってはいたけど」(黒沢)。

 当初コピー・バンドから始まったMOTORWORKSは、CDリリースのオファーをきっかけに、オリジナル楽曲を書き始める。そして、今年の7月に“SPEEDER”、8月に“Missing Piece”という2枚のシングルを発表し、このたびアルバム『BRAND-NEW MOTOR WORKS』を完成させた。そんな彼らのオリジナル楽曲からは、彼らが影響を受けた音楽の断片と、それ以上に、日本人にとっては〈普遍〉と言われるようなメロウネスやニュアンスが放たれている。

「僕らがいままで影響を受けたものをすべて消化したうえで、普通に僕らが出せるロック感みたいなものを出したかった。当初、60'sのコピー・バンドとして始めましたけど、それはそれ。80'sも経験してるし、70年代の真ん中あたりから洋楽のレコード聴いてたし、90年代はミュージシャンとして活動してたし。そういったなかで影響を受けてきたものをフラットに出せるのが、僕らの世代かなって思ってます。そういう意味で言って『BRAND-NEW MOTOR WORKS』は、ありそうでなかった、日本のロックというもののスタンダードな考え方が凝縮されたアルバムじゃないかって思うんです」(石田)。


『BRAND-NEW MOTOR WORKS』
1.The Slide(試聴する♪
2.World One Sign(試聴する♪
3.ステレオ・ラヴ(試聴する♪
4.氷の空(試聴する♪
5.Missing Piece(試聴する♪
6.F・A・T・M・L(試聴する♪
7.SPEEDER?(試聴する♪
8.(A Place Where) Love Goes Withered(試聴する♪
9.コスモゼロ(試聴する♪
10.SATURDAY NIGHT?(試聴する♪
11.The End?(試聴する♪

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2004年09月24日 16:00

更新: 2004年09月24日 19:46

文/久保田泰平