インタビュー

Silvertide

ロックンロールの王道を快走するシルヴァータイドが、デビュー・アルバムをリリースしたぞ!!


 デビュー・アルバム『Show And Tell』のリリースから2週間以上も前に初来日を果たし、〈サマーソニック〉で筋金入りのライヴを披露したシルヴァータイド。曲を知るはずもない観衆の前で演奏することに不安はなかったか、と尋ねると、フロントマンのウォルト・ラフティは笑顔でこう言ってのけた。

「どうってことない。だって去年の10月以来、ずーっとアルバムなしの状態で100本以上のライヴをやってきたわけだから」(ウォルト・ラフティ、ヴォーカル)。

 さすがはアルバム・デビュー前からヴェルヴェット・リヴォルヴァーやヴァン・ヘイレンの前座に起用されてきたツワモノ。その口調にはもはや余裕すら感じられる。

 上は23歳から下は19歳まで。フィラデルフィア出身の幼馴染み5人がこのバンドを結成したのは2001年のことで、メジャー契約を手に入れた頃には、まだ現役高校生のメンバーもいた。彼らの最大の魅力は、当然ながらその若々しいみずみずしさと、そんな若さとは不釣り合いなくらい、地に足の着いた骨太サウンドということになるだろう。が、彼らは、いわゆる懐古趣味のバンドではない。ニック・ペリー(ギター)は、「俺たちは自分たちのやりたいことをやるだけだし、これまでも心からやりたいと思うことだけを自然にやってきた」と語り、「それは誰にも邪魔できないことだ」と言い切る。で、たとえばそれは、音楽のみならず、着るものやライフスタイルについても同じことなのだとウォルトは言う。

「80年代の西海岸バンドとは違うんだ。俺たちはファッションでこれをやってるわけじゃなく、ただ心地良くありたいだけ。俺がスニーカーじゃなくてカウボーイ・ブーツを履くのは、そっちのほうが俺にはラクだからって理由でしかない。でもね、わかってる。それを見てクールだと思った人たちが真似するようになると、それがファッションになるんだってこともね」(ウォルト)。

 10月には単独での来日公演も決定。「2年前に撮った写真がものすごく昔のものに見える」と語る彼らの成長スピードの凄まじさが、早くもそこで証明されることになる。で、これから綴られることになる新時代のロック史のなかで、2004年はきっと〈シルヴァータイドがデビューした年〉と記憶されることになるはずなのである。

▼文中に登場するバンドの作品を紹介。

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掲載: 2004年10月14日 17:00

更新: 2004年10月14日 17:08

ソース: 『bounce』 258号(2004/9/25)

文/増田 勇一