インタビュー

BRIAN McFADDEN

〈ヴォイス・オブ・ウェストライフ〉が、ソロ・デビュー・アルバム『Irish Son』をリリース★


 今年3月、ウェストライフからブライアン・マクファーデンが脱退した。彼の決意は、いちボーイズ・バンドの存在を危うくするものだったが、それでも気持ちは揺るがないほど、彼自身は限界に達していたという。

「ショウビズ界の偽りの部分に、数年前から耐えられなくなっていたんだ。それに家族と過ごす時間を必要としていた。それが理由さ」。

 当初はソングライターになるつもりだった。それならツアーで家を空けることはない。しかし、ヴォーカリストとしての可能性を周囲が言及。その説得に彼も賭けることにしたのだ。すでに曲は書き始めていた。あとはパートナーとなるプロデューサーの人選だけだった。

「僕のマネージャーが熱心にガイ・チャンバースと組むことを勧めてきてさ。でも、僕は嫌だったんだ。だって彼は、ロビー・ウィリアムスを成功させた立役者。同じことをやっていると思われるのは避けたかったんだよね。そこはガイも同じ気持ちだった。ところが、双方のマネージャーがメチャ熱心でさぁ(笑)」。

 会うだけでも、ということで会うことになった彼らは、自分たちでも驚くほどに意気投合。初対面だったその日に、たった45分で曲を完成させてしまったのだ。それがファースト・シングル“Real To Me”。寡黙な彼からは想像もつかないような曲だが、本心を赤裸々に綴っている。それはショウビズ界への批判とも受け取れるが、彼はこの他の曲でも、偽りのない自分の気持ちを真正面から捉え、それを歌っている。

「コンセプトがあったわけではない、でも、最初の2曲を書き上げたときに、自分でもパーソナルなことを表現したがっている、ということに気が付いたんだよね」。

 自然発生的……それはサウンドも同じこと。ロック・テイストの曲調も、低音域を活かしたヴォーカルも、歌に導かれていったもの。だが決して、甘いバラードを中心とするウェストライフの音楽を否定するものではないとい
う。

 そんなブライアンのファースト・シングルは、全英チャートで初登場No.1となった。家族と過ごす時間はまた遠い存在となったが、確実にソロとしてのキャリアを築きはじめた。デビュー・アルバム『Irish Son』は、ウェストライフのニュー・アルバム『Allow Us To Be Frank』とほぼ同時期にリリースされる。彼らはライヴァルとなるのか? その行方にもいま注目が集まっている。

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掲載: 2004年12月09日 13:00

更新: 2004年12月09日 17:07

ソース: 『bounce』 260号(2004/11/25)

文/服部 のり子