インタビュー

Rays

月面フロアに着陸した、謎のダンス・ミュージック・プロジェクト


2003年から2004年に変わる頃、新宿リキッドルームのラストを彩るべく、<The Last Dance>というパーティがあった。そのパーティ開催時に配られたCDには、〈rays〉というアーティストによって作曲されたパーティと同名の曲“The Last Dance”を収録。このCDは新宿リキッドルームの閉店後に正式リリースされたが、その正体は一切不明だった。そして"The Last Dance"より約1年のインターバルを置いて12月15日、彼(?)のセカンド・シングル“moonflowers”がリリースされるという。「で、raysって誰なの?」未だ正体がわからぬまま、メール・インタビューを試みた。


“moonflowers”のプロモクリップ映像より

「一作曲家及びその周辺の音楽仲間達で、バラバラのプロフィールです」……謎は多い。ただ、raysの制作に関わるのは一人では無いようで、今回リリースする“moonflowers”についてもヴォーカリスト(そう、歌モノなんです!)は、作曲を担当した人物が歌っている模様。新宿リキッドルームで毎週のように踊り狂ってた人には涙モノな、どこか切ないトラックだったインストの“The Last Dance”に対して、今作ではヴォーカルに少しエフェクトをかけたソウルフルなヴォーカル・ハウスというだけで驚き。“moonflowers”と名付けられた壮大なイメージの曲は、アサガオとは逆に、夜の闇の中でしか花を咲かせないヨルガオのように儚くもあり、ダンス・チューンとしても強力なアンセムになり得るハイブリッドな傑作だ。

またプロデューサーに一任しているというリミキサー陣も注目。"The Last Dance"では石野卓球、田中フミヤ、Malawi Rocks、Moodmanという、新宿時代のリキッドルームを代表する豪華なアーティストを起用していたが、今作ではKAITO(ヒロシ・ワタナベ)、DJ Shufflemasterの別名義Housedust Sound System、Malawi Rocksを起用。KAITO(ヒロシ・ワタナベ)によるメランコリックな色彩を帯びたリミックスはオリジナルとは対照的に黙々と、しかし延々に踊れる感じに仕上っている。DJ Shufflemasterの別名義Housedust Sound Systemによるリミックスは、彼の今までの作品とは明らかに違う趣で、ブースト気味にベースを唸らせたかと思えば、シンプルなブレイクビーツを聴かせたりと、構成が凄まじいことに。そして前作に続いて起用されたMalawi Rocksは、「これぞMalawi節!」と思わせるフロアライクな一発。現在の恵比寿リキッドルームにとっても所縁深い三者三様のリミキサーたちは、前作同様話題になることは間違いないだろう。

「作品内容とその製作期間から、相当に神経と体力を費やして頂いたはずだと、驚きと感謝と心配とを感じています 」という素晴らしすぎるプロモクリップ映像も必見。rays自身も気に入っているという、ジャケットにも登場している猿のようなキャラクターが指先からレーザーを発しながら歌って踊り、架空のリキッドルームまで登場するフルCGは“moonflowers”の世界観をさらに押し広げる美しい世界だ。さらに「(今後)アルバムを出す予定」という本格始動宣言を思わせる情報も。で、raysは誰なのかって?


・rays『moonflowers』収録予定曲目
1.moonflowers(ORIGINAL MIX)
2.moonflowers(KAITO REMIX)
3.moonflowers(HOUSEDUST SOUND SYSTEM REMIX)
4.moonflowers(MALAWI ROCKS REMIX)
5.moonflowers(RADIO EDIT)

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2004年12月09日 20:00

更新: 2004年12月16日 18:30

文/ビグフォン