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インタビュー

怒髪天

これぞ〈ニッポン〉の心! 意欲的な活動が続く彼らから、トドメの一撃が放たれる!


「米と焼き魚と味噌汁みたいなさ。俺らの曲って、そういう普遍的なものだと思うよ。これが日本人には最も合うんだって」(増子直純、ヴォーカル)。

 ニュー・ミニ・アルバム『握拳と寒椿』を完成させた怒髪天。ヴォーカルの増子直純が、いつものようにアグレッシヴに語ってくれた。

「ただ俺らの場合は、3時のオヤツにまでさんまの塩焼きを出しちゃうからね。そのへんにちょっと問題があるんだよなあ(笑)」。

 今年2枚目のミニ・アルバムという事実からも現在のバンドの絶好調っぷりは伝わってくるわけだが、実際に収められている楽曲も充実しまくり。これまでにも増して真正面から人生や愛や情熱を、しかも徹底的に全力で描き出しているのだ。そこには2001年発表の“愛の嵐”をリメイクした“愛の嵐 ~風速2004メートル~”や、さらには映画「トラック野郎」の主題歌である菅原文太と愛川欣也による“一番星ブルース”のカヴァーなんかも収録。

「〈トラック野郎〉は男のロマン。アホでカッコ悪くて泣ける。それこそが男だからね」。

 もともとは演歌調の渋いナンバーだが(とは言うものの作曲は宇崎竜童だし、しかも演奏はダウンタウン・ブギウギ・バンド!)、それを増子はパワフル&痛快に歌い飛ばす。

「とにかく菅原文太が大好きで。〈トラック野郎〉シリーズを始めたときって文太は42歳だったんだよね。でも俺は今まだ38歳で、ちょっと年齢的に若いんで、そのぶんこういう力強いアレンジにしてね」。

 疾走感溢れる“実録! コントライフ”も大きな聴きどころ。悲劇と喜劇の境界線を軽々とぶっちぎって深い感動を届けてくれる。

「自分が最悪の状況に陥ったと思えるときでも、実はあとから考えると笑えちゃうっていうか。コントに近いもんなんだぞっていうね。で、それでも生きていこうじゃねえかっていう歌。一番の泣き曲だね」。

 そんな全6曲は人生についての大切な〈何か〉を思い出させてくれる。まさに〈米と焼き魚と味噌汁〉みたいなロックである。

「どんなに気取ってる人間でも、家に帰れば母ちゃんから送られてきたミカン箱みたいなものが押入れの奥にあるはずなんだよ。彼女や彼氏に見つかるとカッコ悪いから普段は隠してるけどね。で、それを引っぱり出すのが俺らの仕事だと思ってて。だって、それこそが本当に大事なものなんだから」。

▼怒髪天の過去作と関連作(?)を紹介

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年12月24日 13:00

更新: 2004年12月24日 18:30

ソース: 『bounce』 260号(2004/11/25)

文/大野 貴史