インタビュー

BLIND LOOP MASTER

多種多様な音楽が行き交うクロスロードでグルーヴと契りを交わした男たち――次世代のサウンドはここにある!


ダンス・ミュージックが衰退しているという話や、日本の音楽シーンはオリジナリティーに欠けているという話をよく耳にするが、BLIND LOOP MASTERはそれが嘘であるということを証明するべくシーンに登場した。プロデューサーの兄・鈴木貴幸(22歳)、ラッパー兼プロデューサーの弟・鈴木善典(20歳)という兄弟に、ラッパーの佐々木崇(22歳)を加えた3人によって2000年3月に結成されたこのユニットは、ヒップホップを軸にしながら、ブレイクビーツ、エレクトロニカ、ハウス、テクノ、ダブ、ブロークン・ビーツを融合させたハイブリッドな音楽を生み出し、このたびデビュー・アルバム『Crossroad』を完成させた。マッシヴ・アタックとミッシー・エリオット、オウテカとトライブ・コールド・クエスト、4ヒーローとアウトキャスト、ネプチューンズとDJシャドウなど、一見相反する音楽に影響されてきた彼らは、柔軟で多様性に溢れるトラックを得意としている。また、「AKIRA」「攻殻機動隊」「機動戦士ガンダム」などのSF系アニメやTHA BLUE HERBに影響されたという彼らのラップは、リスナーを圧倒するに違いない。

 ブリストル・シーンにも多大な影響を受けている彼らだが、なんと彼らの才能を認めたアルファ(マッシヴ・アタックの元エンジニアでもあるアンディとコリンによるユニット)が2曲で共同プロデュースを手掛けている。彼らが参加した“Crossroad”という曲に関して、鈴木貴幸はこう語る。

「BLIND LOOP MASTERのイメージする音に最初に辿り着いた曲でもあり代表曲だったのですが、アルファの手によりさらにパワーアップした楽曲となって感動しました。ベースラインがかなりブリストル・サウンドしてると思います。アルファの2人に渡したCD-Rには10曲以上収録したので、恐らく我らの音楽性を理解していただいたのだろうと思いました」。

 PCでトラック制作を行い、ギター、ベース、シンセなどの生演奏を採り入れたBLIND LOOP MASTERのサウンドは、まさに東京のハイブリッドな音楽シーンを反映している。ヒップホップ・ファンも、ダンス・ミュージック・ファンも、テクノ・ファンも、インディー・ロック・ファンも、ニュー・ジャズ・ファンも彼らのサウンドに共鳴するだろう。まだ若くて荒削りかもしれないが、トラックとリリックの両面において恐るべきクォリティーの高さを誇る彼らの音楽は、今後世界に羽ばたいていくに違いない。

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掲載: 2004年12月24日 13:00

更新: 2004年12月24日 18:32

ソース: 『bounce』 260号(2004/11/25)

文/バルーチャ・ハシム