インタビュー

ストレイテナー

約1年ぶりとなるニュー・アルバム『TITLE』は、これまで以上のヴァラエティーに富んだ充実作!


 惜しい。12月にリリースされていたら、2004年の年間ベスト10に速攻突っ込んだのに。しょうがないから2005年ベスト10用にとっておくが、その間に、彼らはもっともっと先へ行ってしまうだろうな。ホリエ&ナカヤマの鉄壁コンビに、約1年半前から加わった日向秀和(ZAZEN BOYS)が、初めて曲作りの段階から参加したアルバム。その名も『TITLE』。哀愁ポップなメロディーと、超攻撃的バンド・サウンドとががっちり噛み合った、ストレイテナー史上最高作と言い切りたい。

「自分にないアイデアを持ってるメンバーが入ったことはデカイです。途中までしか出来てない曲を持っていって、〈ここから先を作ろう〉って。楽しいですね。発見発見、みたいな。2人が何かやると〈それじゃん!〉とか言ったりして」(ホリエアツシ、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 曲調は、エモ系、パワー・ポップ、ネオアコ、そしてディスコ・パンクまで、1曲ごとの完成度は異様に高い。特徴は、ミディアム・テンポのグルーヴィーな曲が増えたことと、エレクトリック・ピアノなど鍵盤の導入。乾いた疾走感が武器だったストレイテナーのギター・ロックに、人肌の温かみが加わった変化は大きい。

「ポスト・ロックとか、アメリカとかカナダのインディー・バンドとか、哀愁系の音をすごく聴いてたので。ギターとリズムとエレピだけとか、すごく心に残るサウンドがあるんですよね。そこを採り入れたかった。出したかった音を出したら、自然にあったかい感じになりました」。

 それにしても。すでにワン・アンド・オンリーの凄い音を出してるにも関わらず、何度会っても、この男の謙虚さはどうだろう。もっとビッグマウスなら、もっと注目されるかもしれないのに。そこんとこ、どう?

「それは、口で言っても、別にね。ワン・アンド・オンリーになりたいとは思うけど、自分では、特に新しいこともやってないと思うので。やっぱり、何もかも聴いて採り入れて、それが真似事じゃなくて、ちゃんと自分たちのオリジナルになってなきゃいけない、っていうところですね。それはずっと変わらない」(ホリエ)。

 この、一見ありふれた、静かな存在感が逆に怖い。2005年のストレイテナーに、最大限の熱視線をお願いしたい。

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掲載: 2005年01月27日 17:00

更新: 2005年01月27日 18:08

ソース: 『bounce』 261号(2004/12/25)

文/宮本 英夫