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インタビュー

REBEL CLIQUE

〈音の哲学者〉ことファット・ジョンがアムレセットと結んだユニークな共犯関係


 ファット・ジョンの音には哲学的なメッセージが含まれている。が、それは聴き手に機械的で無機質な印象も、厳かでお堅い印象も与えない。彼はいつでも人間味豊かで温かいサウンドを届けてくれるのだ。そんなジョンがインスト・アルバム『Afterthought』から間を置かず、新作『Unique Connection』を完成させた。同作は女性シンガー、アムレセットとのレベル・クリーク名義での作品となる。まずはレベル・クリークを結成した経緯から訊いてみた。

「以前、アムレセットはメジャー・レーベルと契約してたけど、いろいろあって作品がリリースされなかったんだ。でも、僕たちもふたりで音楽を作り出してたから、そのことは忘れてインディーでやろうっていう気持ちになったんだよ。それにアムレセットは真のアーティストなんだ。歌うだけじゃなくて、作詞、作曲、アレンジなどを全部自分で手掛けてる。僕はそこにサウンドを足すだけでいい。責任を持って自分の音をコントロールしようとする真摯な姿勢も含めて、彼女には大きくインスパイアされたね。ふたりで音楽を作ろうって決めた時から必ずパワフルなものを生み出せると思ってたよ」。

 ちなみに彼らはプライヴェートでもステディーな関係らしい。ここまでの好相性を見せるのも、ジョンのサウンドが優しさに満ちているのも、つまりはそういうことなのだろう。ところで、ジョンはヴォーカル・アルバムを作るうえでどこに留意したのか。

「今回もっとも注意したのは、音と音の間に歌が呼吸できるスペースを用意すること。ヴォーカルがすうっと耳に入ってくるようなプロダクションにしたかったんだ。それにこのサウンドはソロや他のグループとは違ってレベル・クリーク独特のものなんだ。タイトル『Unique Connection』も、そういう意味だよ」。

 そして、気になる今後の予定については、「レベル・クリークとしてはもう次のアルバムに着手してる。もっと自分たちのサウンドを掘り下げたいからね。それにファイヴ・ディーズや3582もアルバムを制作中だよ。あと、スタイロフォームと共同で作ったアルバムを2005年初春にリリースする予定」とのことだ。

 冒頭で述べたように、ファット・ジョンが創作する音には言葉と感情が溢れている。そこにアムレセットの凛とした雰囲気ながらもどこか涼しげな歌声が乗ると、そこに何とも言えない心地良さが生まれてくるのだ。温もり豊かなトラックと涼しげな歌声が絶妙にブレンドされた『Unique Connection』は、多くの人を魅了するに違いない。

▼ファット・ジョン関連の近作を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年02月10日 17:00

更新: 2005年02月10日 18:45

ソース: 『bounce』 261号(2004/12/25)

文/河野 貴仁