インタビュー

Octave One

来日ツアーも間近!! ソウルフルな高みを提示するバーデン三兄弟の大傑作がついに到着!!


 DJミックスを新境地へと導いたあの傑作DVD、ジェフ・ミルズの『Exhibitionist』にライヴ/インタヴューが大フィーチャーされていたのも記憶に新しいのがローレンス&レニーのバーデン兄弟=ランダム・ノイズ・ジェネレーション。そして、その2人にリーネルも加えた三兄弟がオクタヴ・ワンだ。89年にデビューした彼らが初めてのオリジナル・フル・アルバムとなる『The Theory Of Everything』を完成させた。「常に自分たちは完全なるミュージシャンだという自負がありながら、これまで完全に満足のいくアルバム作品を作ってこなかったというのが正直な気持ちだった」と次男レニー(以下同)が語る今作だが、〈オクタヴ・ワン=デトロイト・テクノ〉の図式で考えるとあまりにイメージの異なるヒップホップ/R&B的楽曲の多さに驚くかもしれない。

「これまで、僕たちはダンス・ミュージックのプロデューサーとして広く知られていたし、いわゆるダンス・ミュージックを作る時は意図的に音楽をダンス向けにシェイプさせていた。でも今回は楽曲自体に向けてシェイプしたんだ」。

 その結果、彼ら最大のヒットである、アン・サンダーソン(あのケヴィン・サンダーソンの奥方!)のヴォーカルも美しいディープ・ハウス・チューン“Blackwater”さえもストリングスを大々的にフーチャーしたオーガニックなヴァージョンにて収録されている。

「“Blackwater”はアンのおかげで〈トラック〉から〈楽曲〉へと昇華されたけど、常に進化させ続けたい曲なんだ。曲のヒット後に新しくプロモ・クリップを撮るか、アーバン・ソウル・オーケストラ(ソウルIIソウルのバックを務めていた)との新しいミックス・ヴァージョンを録るかという予算を与えられた時、有無を言わずに後者を選んだんだよ」。

 ビッグネームのリリースが続いて活気づくように見えるデトロイト・テクノ・シーンではあるが、バーデン兄弟はそこを起点にして自身の音楽道を頑なに進んでいく。その現在地点がこの『The Theory Of Everything』なのだ。

「確かにデトロイトはホームタウンだし、僕たちは〈デトロイト・テクノ・アーティスト〉として〈デトロイト・テクノ〉と呼ばれる楽曲を数多く生み出してきた。そういう背景を誇りに思うけれども、同時に僕たちの音楽はそればかりではないということに気付いたんだ。僕たちのレーベル、430ウェストは〈Find Your Direction〉というスローガンを掲げている。僕たちの方向性は、音楽と共に常に正直でありたいということ。そして、いまの自分たちが作り得る最高の作品を作るということなんだ」。
▼このたびタワレコでも入手しやすくなった430ウェストの作品を一部紹介。

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掲載: 2005年03月24日 12:00

更新: 2005年03月24日 18:50

ソース: 『bounce』 262号(2005/2/25)

文/石田 靖博