インタビュー

おおはた雄一

独特な弾き語りスタイルで話題を呼ぶシンガー・ソングライターのセカンド・アルバム!


 昨年、デビュー・アルバム『すこしの間』のリリースとともに、クラムボンのオープニング・アクトをはじめとした数々のライヴやイヴェントに出演し、一躍その独自の弾き語りのスタイルを世に知らしめたシンガー・ソングライター、おおはた雄一。音源においてもSmall Circle Of Friendsとの共演や、AMADORIとのスプリット・カヴァー作『Two of us』ではグローヴァー・ワシントンJr&ビル・ウィザースのソウル・クラシック“Just The Two Of Us”をデュエットと、フォーク/ブルースに留まらない緊張感溢れるコラボレートを実現した。このフットワークの原点はどこにあるのだろう。

「オープン・チューニングに出会ったのと、ケリー・ジョー・フェルプスを観たのが衝撃で。ラップ・スライドの自由さが性に合っているというか、曲の途中で歌を止めちゃって、代わりにギターが喋るみたいな、それぐらい歌とギターが完璧に一体化しているようになりたいなと」。

 映画「パリ、テキサス」でのライ・クーダーの演奏で知られる“Cancion Mixteca”のカヴァーも、彼の音楽にある彷徨を的確に表しているが、郷愁を呼び起こさずにはいられない饒舌なギタープレイや、ゆっくり気持ちをほぐしてくれる歌声と、その場のアンビエンスを活かしたレコーディングの成果がここにはある。

「“不思議なくらい”は〈ドキュメントみたいに録りたい〉ってミト(クラムボン)くんがプロデュースしてくれたんです。そんなに日常というところも意識しているわけでもなくて、結構ピリピリと集中しているんですけど、今回はやっていて楽しかったんですよね。そう思えるようになったのって、本当に最近で。saigenjiくんや、ハナレグミの(永積)タカシくんや高田漣さん、もちろんクラムボンのメンバーと接していることで、刺激を受けたのもあると思います。みんな、見ていて悔しくなるくらい本当に楽しそうだし(笑)」。

 陽だまりのなかに溶けていくような暖かさと包容力を持った“おだやかな暮らし”は、すでに原田郁子が自身のソロ・ライヴでレパートリーとして加えているように、おおはた雄一の飾らない歌の魅力はさらに感染者を広めている。

「今年はこのアルバムを持って日本中あちこち回りたいです。今ってたくさん情報があってなんでも聴けた気にはなるんだけれど、目の前で演奏するのはやはり違うでしょ」。

 彼はきっとあなたの街にもふらりと現れて、その気韻に満ちた歌と演奏で魅了してくれるだろう。


リリースされたばかりのAMADORIとおおはた雄一の3曲入りスプリット作『Two of us』(Rainbow)

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掲載: 2005年03月24日 12:00

更新: 2005年03月24日 18:51

ソース: 『bounce』 262号(2005/2/25)

文/駒井 憲嗣