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インタビュー

にせんねんもんだい


〈にせんねんもんだい〉というバンド名を聞いて、どんな音かと思いを巡らすけれど、この3人組は、そんな思惑をスルリとかわしてガッシリと骨組みを組んだ強靱(過ぎる!)な音をぶつけてくれる。アメリカ・ツアーもこなしてしまった彼女たちだけど、普段はシャイな女の子。このたびようやくミニ・アルバム『トリ』が一般流通される……ってことで、彼女たちにも馴染み深い高円寺の奇所=円盤(CDショップ/イヴェント・スペース)の親方・田口史人氏のエスコートでの気楽な座談会を開催!

――いつ彼女たちを知りました?

田口(以下:田)「円盤にCD-Rを持ってきたときかな。フライヤーとかでさ、〈にせんねんもんだい〉って名前だけで気になっていた。だからCD-Rをすぐ店に置いたよ」

zai(ベース、以下:z)「最初から置いてもらうつもりで10枚くらい持って行ったんですけれど、その場でかけてくれたからすごく気まずくて……(笑)」

――そのCD-Rが、今回リリースされるミニ・アルバム『トリ』。これは最初から人に聴かせるために作られた感じがしますが。

ma-chan(ギター、以下:m)「人に音源にしたほうがいいって言われてスタジオで録音したんですけれど。音が汚い(笑)」

z「録り方があんまり良くなかったかも」

hime(ドラムス、以下:h)「〈6時間パック〉みたいなので録ったからね(笑)」

――音源を最初に聴いたときはどうでした?

「もう、その名前だけでOKだから(笑)。そういうセンスでバンドをやる人たちって奇怪な音楽をする人が多いじゃない? もちろんそれもいいんだけれど、音を聴いたらストレートなことをしているし、バンドとして普通にカッコイイと思ったし。そこのギャップもかっこいいんだよね」

――以前からインストだったんですか?

h「大学のサークルでバンドを組んでて。楽器は上手く弾けないんですが、弾ける範囲でできることを考えてました」

m「音は最初からこんな感じでしたね」

z「2曲ほど歌モノもやったりしたんですけれど……」

――何か、お手本のような音楽はあったんでしょうか……?

z、m、h「…………」

「これくらいの世代の人たちって、あんまりそういうことって考えていないみたい。オヤジたちは〈何をルーツにしている?〉って訊くだろうけれど、訊いても仕方がないんだよ。ないんだから」

――アレンジなど毎回変化してますが、それは即興的なものだったりするんですか?

z「飽きたというのもあるし、ライヴで出したもの勝ちみたいなところもある。昔はずっと同じことをしていたんだけれど、〈私はここがあんまり好きじゃない〉って言ったら、〈あ、私も!〉って感じで変わったりします。みんな内気だから、最初はなかなか言い出せない(笑)」

――にせんねんやオシリペンペンズみたいなバンドは最近出てきたように思えるけれど、結構長くやってるんですよね。でも、そういうアンダーグラウンドでやってたバンドたちが、いま急に姿を現してきたのはなぜでしょうか?

「ずっといたんだけれどね。単純に力を付けてきたっていうのはすごくあると思うんですよ。たとえば3年くらい前に、吉祥寺に東風っていう場所があって、カスのような発想を持った連中のたまり場になっていたんだ。で、あそこで出会った連中(ハズレッシヴ、俺はこんなもんじゃない、など)も、その後自分たちでイヴェントをやるようになってからさらにおもしろくなってきたし。お店に並んでいるCDを聴くだけじゃわからないかもしれないけれど、現場っていうか、実際に彼女たちが演奏しているような場所に行けばいろいろ見えてくる。いろんなバンドや人が、そんなイヴェントですでに繋がってたりするわけだから」

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年03月24日 13:00

更新: 2005年03月24日 18:49

ソース: 『bounce』 262号(2005/2/25)

文/小田 晶房