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インタビュー

トラックで聴くDEV LARGEのソウル・パワー

 そもそもBUDDHA BRANDを特別なグループたらしめていたのは、そのエキセントリックなラップもさることながら、DEV LARGEの手によるソウルフルで宇宙的なトラックである。ドス黒いジャズやソウルの断片が漆黒の闇(病み)から沸き起こってくるようなインスト曲はもちろんのこと、“FUNKY METHODIST”“ブッダの休日”といった説明不要のラップ・トラックでもその表情を大きく決定づけていたのは彼のビートだ。

もちろん、LUNCH TIME SPEAX“止マッテタマッカ!!!(DEV LARGE Remix)”でのブラジリアン風味のように、多彩なグルーヴを纏ったプロデュース・ワークの数々においてもその手腕が発揮されてきたのは言うまでもない。右のディスクガイドでは彼のソウルフルな視座がわかりやすく表に出たトラックやミックスCDを紹介しているが、こうしてインストに焦点を当ててみると、ここまで雄弁でヴィジュアライジングなブレイクビーツ・トラックを編み上げる人は世界中を見渡してもそういないことがわかる。『KUROFUNE 9000(BLACK SPACESHIP)』は彼が必然的に生み出した逸品だと言えよう。

BUDDHA BRAND 『病める無限のインストの世界』 cutting edge(2003)

  2000年の2枚組大作からインスト曲を抜き出してまとめたもの。毒気のあるコズミック・ファンクから汁気の多いスムース・ジャムまで、スーパーバッドなソウルの果実が鈴なり状態で、いつ聴いても刺激的だ。

VARIOUS ARTISTS 『Listening is Believing』 Libyus(2004)

  Libyusのブレイクビーツ・コンピ。同志FORCE OF NATUREやファット・ジョンらの好トラックが並ぶなか、ドラム・ブレイクが爆発するDLの“TRANS TOKYO GHETTO FUNK EXPRESS”はひときわ黒光り!

JACKSON 5 『Soul Source JACKSON 5 REMIXES 2』 ユニバーサル(2002)

  人気企画に参陣したBOBO JAMESことDLは“Good Thing Goin'”を夢心地にドリーミックス。他曲からもマイケルの声をコラージュしまくった万華鏡ライクなサイケデリック・グルーヴはDLの真骨頂!

『BRUNSWICK DJ MIX BY BOBO JAMES : SOUL TRAVELING』 ビクター(2002)


  レアグルーヴ的な人気も高いブランズウィック音源を、BOBO JAMESならではの黒魔術でファンキー&ヴァイビンにミックス。内容を巧みに伝える怪しいジャケもカッコイイ。

『MELLOW JAZZ FUNK -Dj Mix By BOBO JAMES(A.K.A. DEV LARGE)』 


  サブスタンス(2003) 独特の匂いがする音でネタ人気も高いグルーヴ・マーチャントの音源をミックス。蒙昧なメロウネスと汁の出るファンクネスをドス黒いストーリーに束ねる展開の作り方は流石。

加藤ミリヤ 『Never let go/夜空』 ソニー(2004)

  最新曲がECDへの返歌だったりソレ系リスナーをくすぐるのが上手い彼女だが、この初シングル所収の“夜空”では“人間発電所”を優美にベタ敷き! 元曲のヴァイブあってこその好曲に。DLによるリミックスも強力です。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年03月31日 13:00

更新: 2005年03月31日 17:34

ソース: 『bounce』 263号(2005/3/25)

文/出嶌 孝次

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