インタビュー

COOL WISE MAN

日本の凄腕たち、そしてジャマイカの英雄ともガッチリと〈シェイクハンド〉してしまったワールドワイドな傑作『UNITY』!


 3本のホーン・セクションを擁し、縦横無尽にジャマイカ音楽を鳴らすバンド、Cool Wise Menが2年半ぶりにミニ・アルバムをリリースした。「基本的にウチら、スカのことはルーツ・レゲエだと思ってますから」とは、浜田光風(トランペット)の言葉だが、これこそ日本のシーンに欠けている認識かもしれない。スカならスカ、ダンスホールならダンスホールしかプレイしないのではなく、すべてのジャマイカン・ミュージックが力強く手を取り合い、見事に融和した究極のフィーチャリング作品がこの『UNITY』だ。そんな彼らの気概に、ジャマイカン・ミュージック好きなら誰もが通る名門レーベル=スタジオ・ワンから、60~70年代を席巻した伝説的DJのキング・スティットやディリンジャーが、また、日本からはPAPA U-Gee、内田直之、カルカヤマコトらが賛同し参加した。

「もともとアルバムを作ろうって言ってて。で、ドラムの竹内が事故に遭ってしまったので、その趣旨を変えてミニ・アルバムにしようってところから、このアルバムはスタートしてるんですけど」(浜田)。

「ホントね、導かれたような感じでしたよ。スティットもディリンジャーも(いっしょにOKが)出た時点で〈マジかよ?〉っていう。ホント、ウチらが冗談半分で言ってたことだったんで」(篠田智仁、ベース)。

 そういったバンド内でのトラブルや、いろいろな人の手が点から線へと繋がっていくドラマティックさも、今作の魅力をより濃厚なものにしてるのかもしれない。本人たちが言うところの、「臭くてもいいから匂ってるくらいのほうがいい」という感じがする。

 さて、本作をどんな人に聴いてほしい?という問いには、「今のスカを好きな若い人たちで、U-Geeさんをちゃんと聴いたことある人も少ないだろうし。そういう意味では〈日本にはこんなスゲー人がいるんだぞ〉っていう感じになれればいいし、逆に普段からU-Geeさんを聴いてるレゲエ・ファンがスタジオ・ワンとかに興味もってくれたら嬉しいし……」(浜田)。

 そう。この作品は聴く人たちにとっても、いろいろな方向へ繋がっていける、まさに〈UNITY〉なアルバムなのだ。

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掲載: 2005年05月26日 13:00

更新: 2005年05月26日 20:32

ソース: 『bounce』 264号(2005/4/25)

文/斉藤 ジョゼ