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インタビュー

DEPAPEPE


 スタートボタンを押せば、やんちゃなメロディーとサウンドが勢いよく空めがけてプシューっと吹き上がる。それは、よ~くシェイクさせた炭酸の缶ジュースを開けた時の爽快に弾ける〈あの感じ〉に似ていて、思わず、アハッという笑い声を漏らしてしまった。さあ、噂のアコースティック・ギター・デュオ、DEPAPEPEのメジャー・デビュー・アルバムが出ましたよ。タイトルは『Let's Go!!!(レッツ・ゴー ゴー ゴー)』。良いです、この〈勢いあまって3回繰り返しちゃいました〉ってところ。DEPAPEPEがやってくる、ゴーゴーゴー!

 一部、 パーカッションなどのバッキングが加えられているけれども、ほとんどすべての楽曲がふたりぼっち。ただし、アコギ抱えて2人がそっと見つめ合う、なんつうムードとは無縁。ジャカジャカした音の向こうから、こんな会話が聞こえてきた。

「でも、僕らはどんな時もケンカにはならないんですよ。なにせ、歳が6つも離れてますからね」(徳岡慶也)。

「そんなに気を遣わなあかんほど、親しくもないんで(笑)」(三浦拓也)。

 そりゃ、見つめ合っているはずもなく。しかし、彼らの運命的な出会いを感じずにはいられないほど、演奏における呼吸の合いっぷりは見事である。そこでは年齢の差など風に吹き飛ばされてどこかに消えてしまっているのだ。

「インストってメロディーだけやから聴く人がいろんなイメージを拡げやすいと思うんです。だから音楽そのものに入り込めるし。そこがいい」(三浦)。

「僕ら、エレキで表現するようなことをアコギでやったらカッコエエやろ!って始めたんで。だから、見る人が見たらエレキ弾きしてるなってわかるはずなんですよ、メロディーの弾き方とかね。でも、いまだに〈クラシック・ギターやってたんですか?〉って訊かれたりする。アコギの認知度って思ったより低いんやなぁと。いや~、まだまだこれからやな!」(徳岡)。

 ライヴで他のバンドと対バンする時は、「勝負するつもりで」あえてロック的なことをやってしまうという徳岡。あんなこともこんなこともやってみせて、お客さんの目を自分たちに向けさせてきたのだ。

「ドラムやベースがないからと考えてしまうこともあるけど、そこで逃げずにどうにかするのがオレらやろ?って。今は、何をやっても絶対にDEPAPEPEの音になるっていう自信はありますね」(徳岡)。

 どんなにハードにキメても、アコギの感触が人懐っこいメロディーと相まって、どこかポップな方向へと導かれていく。

「そうそう、そういう面がある。ほんとアコギ様々ですよ。これがウクレレやったらどうなってたことか」(徳岡)。

「ん~、それはそれで良かったかもしれん。でも、たしかにやりたいことを好き放題やっても最終的にはDEPAPEPEの音になるのが理想ですね」(三浦)。

「ただ、僕には〈こうなりたい〉っていう理想はないんです。ヘタしたら明日にはエレキを使うようになってるかもしれん、そういうスタンスなんですよ」(徳岡)。  

 夏のプールをワイドレンズで写したかのように、辺り一面に澄み切った青い景色が広がるこのアルバム。いずれは、しっとりとした夜のムードを描く、なんて時期も来るのだろうけども。

「まぁ、渋いコードとフレーズを使ったらやれるけど……」(徳岡)。

「たぶん、黒のベタ塗りになる(笑)。ちょっとだけ水で溶かして淡くする、なんていう加減がまだわからへん(笑)」(三浦)。

「今はとにかく僕らの元気の良さを知ってもらいたいですね。〈DEPAPEPEはアップであるべき〉ってことにこだわって。でも、そればっかりやってたら鬱陶しがられるかも(笑)」(徳岡)。

「ま、今は鬱陶しがられるぐらい目一杯やっていきたいですね!」(三浦)。

PROFILE

DEPAPEPE
徳岡慶也と三浦拓也によるアコースティック・ギター・デュオ。神戸のライヴハウスで共に働いていたふたりが意気投合して2002年11月に結成。神戸市内を中心に行っていたストリート・ライヴが評判になり、大阪~京都~東京と着実にライヴ活動の場を拡げていく。2004年2月に初音源となるミニ・アルバム『ACOUSTIC FRIENDS』でインディー・デビュー。同年7月に『Sky! Sky! Sky!』、12月には『PASSION OF GRADATION』とハイペースにリリースを重ね、そのすべての作品がJインディー・チャートの上位にランクインするなど、インスト・グループとしては異例のヒットを記録。このたび、メジャー・デビュー・アルバムとなる『Let's Go!!!』(ソニー)がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年06月16日 17:00

更新: 2005年06月16日 19:53

ソース: 『bounce』 265号(2005/5/25)

文/桑原 シロー