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インタビュー

good music!

景色が緩やかに移ろっていくような美しき調べを奏でる、インスト・バンドが登場!


〈テルミンをフロントに置いた6人組のインスト・アンサンブル〉と聞いて、またも変種、またも「たけしの誰でもピカソ」出演を目標にしてそうな奴らか? 俺は直球あっての変化球は好物だが魔球だけだとどうもなぁ……と先入観を抱いた貴方は大きく間違っている。good music!は昨年WEATHERから鮮烈なデビュー盤を発表したwin a sheep freeのメンバーを中心とした6人組であり、このデビュー・アルバム『good music!』には〈奇〉のカケラもない、しかし〈気〉や〈季〉や〈輝〉はたっぷりと詰まった、眩しいばかりに美しい〈夢見〉に直結したものだ。

「曲作りの基本はアコギ2本を基調に、そこにメンバーそれぞれの個性を投入してもらう形です。僕らの音楽がフォーキーに聴こえたり、ある種の懐かしさを伴ったメランコリックなものであるというのは、そのせいかもしれません。ベースやドラムを入れないのも、ハッキリとした場面展開を聴かせるより、緩やかな時間感覚や空気感、そしてそれが次第にグラデーションしていく様子を聴いてもらいたいからなんですね」(ミナト、ギター)。

「音が音に〈呼ばれる〉という感覚ですね。その瞬間の呼吸や閃きをそのまま音にしているような感じというか」(ヒライ、ギター)。

「私はどちらかといえば言葉のとっかかりでイメージを広げていくタイプなので、ギターの骨組みに勝手にタイトルをつけて、そこからフレーズを決めていったりもします。たまにそのタイトルを書いた譜面をわざと目立つような場所に置いておいたりもするんですけど、なかなか採用されないですね」と笑うのは、紅一点のyouyou。まるで循環呼吸を体得したテノール歌手の肉声のようにも聴こえる艶かしくも美しいリード楽器、テルミン担当の才女だ。

「私はテルミンを電気楽器ではなく、とても柔らかな音色の出るアコースティック楽器として捉えているんです。映画〈テルミン〉に大感動して、すぐにネットで手に入れたんですけど、箱を開けたその日にすぐ弾けたんです。なんだか運命的なものを感じましたね」(youyou)。

 ポスト・エレクトロニカの先端にも籍を置きつつ、旅情に富み、より豊潤に聴こえるのは、そんなメンバーの〈連鎖〉ゆえ。聞けばミナトは大のエンニオ・モリコーネ・ファンだとか。どこまでも心地良いメロディーに、ほんのひとさじの狂気。通じる部分は確かに多い。

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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年07月21日 13:00

更新: 2005年07月21日 16:23

ソース: 『bounce』 266号(2005/6/25)

文/江森 丈晃