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インタビュー

THE SUBWAYS


 感情の波に乗るように、切なくも激しく心と身体に揺さぶりをかけるサブウェイズの音楽。自分の中のモヤモヤした気分がうまく言葉にできない時は、想いをサブウェイズに託して踊り続ければいい。実際、彼らもそんな激情と瞬発力をもって歌を生み出しているのだ。

 平均年齢19歳。2004年、コンテストで優勝したことをきっかけに、デビュー前にもかかわらず〈グラストンベリー〉に出演するなど、メディアから大注目されている3人組だ。ビリー・ランとジョシュ・モーガンは幼馴染み、シャーロット・クーパーはビリーがプールで一目惚れした女の子! この3人で母体となるバンドをロンドン郊外で結成。本格的にプレイするようになってから5年というキャリアを持つ。3人でゼロからスタートしたバンドなだけに、どの楽曲もオリジナリティーに溢れているのが彼らの強味である。

「オアシスの“Supersonic”を聴いて自分もギターをプレイしたいと思って、屋根裏部屋にあった父親のアコースティック・ギターを引っ張り出して弾くようになったんだ。独学でニルヴァーナやプロディジーに合わせて演奏したり、それからショート・ストーリーを書いて曲を作るようになった。父がロックンロール、母がモータウン好きで、いつも家に音楽があったから、音楽的環境も良かったんだよね」(ビリー)。

「私は7~8歳の頃にピアノを弾き始めたの。私の場合は最初に行ったコンサートがガービッジで、自分もああいうふうにプレイしてみたいと思ったことがきっかけだったわ」(シャーロット)。

 曲作りはビリーが担当。存在しない相手に向かって一方的に話しかけているような気分で曲を書く。そのため孤独な想いや恋する想いを一気に明かすようなスタイルになっているのだ。エネルギーを爆発させた“Oh Yeah”“Rock & Roll Queen”といったダイナミックな曲が評判の彼らだが、ファースト・アルバム『Young For Eterni-ty』には“She Sun”“Somewhere”など、じっくり聴き込める曲も収録されている。

「“She Sun”の歌詞は、部屋を暗くして月の明かりを見ながら書いた。ちょうどこの時シャーロットが遠くに離れていて、会いたくてたまらなかったんだ。〈彼女も同じようにこの月の下にいるんだ〉と思っていた。でも実際には時差があって、彼女がいたところは日中だったから、この曲での〈太陽〉はシャーロットのことを意味している。“Somewhere”は野原でアコースティック・ギターを片手に書いた。まわりに何もなくて夜空の星がとてもよく見える素晴らしい夜だった。その時に流れ星を見て、怖くなったと同時に安心感もあった。それで〈The star explodes but I still feel  safe〉という歌詞を書いたんだ」(ビリー)。

 激しいライヴ・パフォーマンスとは裏腹に繊細な一面を感じさせるビリーは、言葉を噛み締めるように話す。一方、シャーロットはテキパキと答えるタイプ。

「私も歌詞を書いてみたいとは思うんだけど、ビリーの歌詞は文句のつけようがないから……。もしかしたら次のアルバムで少し書くかもしれない。私たちはいつも何でもやってみよう、不可能なことは何もないって思っているの」(シャーロット)。

「ボクは自分が置かれている状況や社会にうまく溶け込めないところがある。でも曲を書くことによって自分の気持ちを出せているので、自分は普通の人間だと思えているんだ。これができなかったら、どこかに逃げてしまって誰とも話をしないだろうな」(ビリー)。

 心に抱えたわだかまりを吐き出しながら驀進するサブウェイズ。今から〈サマソニ〉でのステージが楽しみでたまらない。

PROFILE

サブウェイズ
ビリー・ラン(ヴォーカル/ギター)、シャーロット・クーパー(ヴォーカル/ベース)、ジョシュ・モーガン(ドラムス)から成る平均年齢19歳の3人組。2000年頃、ロンドン郊外のウェルウィンガーデン・シティーで結成。2004年、ヴォン・ボンディーズやダットサンズ、インターナショナル・ノイズ・コンスピラシーなどのオープニング・アクトに抜擢され、〈グラストンベリー〉にも出演。同年にワーナーUKと契約を結び、2005年にはデビュー・シングル“Oh Yeah”をリリース。NME誌やQ誌をはじめ各メディアから絶賛されて話題を集めるなか、このたびファースト・アルバム『Young For Eternity』(Warner UK/ワーナー)がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年07月28日 14:00

ソース: 『bounce』 267号(2005/7/25)

文/伊藤 なつみ