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インタビュー

TEAIRRA MARI


 あのジェイ・Zから〈The Princess Of Roc〉の称号を与えられ、胸元にロッカフェラ・アーティストの象徴とも言えるブリングなペンダントを輝かせるのは、ファースト・シングル“Make Her Feel Good”で絶好調の滑り出しを見せている期待のホープ、いま注目度No.1のティアラ・マリーである。

 デトロイト出身、あの故アリーヤの母校でもあるアート・スクールに通いながら、暇を見つけては地元のプロデューサーたちとスタジオに入り、デモを作り続けていた彼女。弱冠17歳ながら、現在ラッシュの若手アーティストたちよりは一歩進んだ実力派シンガーとして、すでに貫禄さえも兼ね備えている。幼い頃から教会の聖歌隊で歌い続け、12歳の頃にはすでにソロのパートを受け持っていた事実からも抜群の歌唱力を想像できるだろう。歌をキャリアとした人生を夢見て、いとこの地下室でいくつもデモテープを制作していたという話からも、彼女の歌に対する情熱が反映されている。2003年には地元のK.I.S.S.からEP『Teairra -The EP』をリリース。それがLA・リードの手に渡り、オーディション後にその場で契約が交わされたという逸話も、彼女の実力を証明する一例だと言える。そして、その実力を見逃さず、彼女に隠されたヒットの匂いを嗅ぎ取ったのがジェイ・Zであり、ティアラ・マリーはロッカフェラ初の女性R&Bアーティストとしての道を歩みはじめたのだ。

「ジェイは私にとって父親のようでもあり、そして兄貴みたいな存在でもある。こうして業界のトップに君臨する人物の間近でさまざまなアドヴァイスを受けられることは、本当にラッキーだなって思うわ。ジェイがいつも私に言うの。〈一生懸命仕事をして、集中しろ〉って。〈ボーイズたちと話してる暇なんてないからな〉ってね(笑)」。

 エリックB&ラキムの“My Melody”をサンプリングし、すでに2005年夏のアンセムとなった感もあるファースト・シングル“Make Her Feel Good”は、シアラやデスティニーズ・チャイルド、そしてアッシャーらを手掛けたソングライター/プロデューサーのショーン・ギャレットによるもの。ラジオ、そしてTVなどのメディアも大プッシュするヘヴィー・ローテーション状態はこれからもしばらく続く見込みだ。

「ファースト・シングルは、世の中の男の子たちに〈ガールズにもリスペクトを見せなきゃダメよ〉っていうメッセージが込められているの。さまざまな人に共感を持ってもらえるような曲を歌っていきたいわ。自分への自信や強さまでも与えられるような、そんな影響力を持った歌をね。いま私に課せられているアーティストとしてのミッションは、私の歌声でR&B界に新風を吹き込むこと。私のオリジナリティー、そしてデトロイト・スピリットをバックに、自分のすべてを曝け出すくらいの勢いを見せるつもりなの」。

 彼女のファースト・アルバム『Roc-A-Fella Records Presents Teairra Mari』には、ティアラの観点から見つめた〈ライフ〉をコンセプトに、アップテンポなトラックからバラードまでが収録されている。ショーン・ギャレットをはじめ、ロドニー・ジャーキンスら多くのプロデューサーが名を連ねた要チェックな楽曲が目白押しで、聴き応えのある内容を約束してくれる。

「私はまだ17歳だからクラブにも行けないの。周りのみんなは〈クラブでティアラの曲がプレイされて、フロアで多くの人たちが踊ってたよ〉なんて嬉しいニュースを届けてくれるんだけど、実際にその場面を私の目で確かめてみたいわ。とにかく、このアルバムを手に取って聴いてほしい。私のすべてが詰め込まれているし、私の音楽に対する情熱を絶対に感じ取ってもらえるはずよ」。

PROFILE

ティアラ・マリー
88年、デトロイト生まれ。幼い頃から教会で歌に親しみ、12歳の頃にはプロ・デビューをめざしてデモテープの制作を開始。地元のラジオ・ショウなどに出演を重ねて徐々に評判を集め、2003年にはインディー・レーベルのK.I.S.S.から初音源となる5曲入りのEP『Teairra -The EP』をリリース。LA・リードを経由してジェイ・Zと邂逅し、ロッカフェラ/デフ・ジャムと契約を果たす。2005年4月にシングル“Make Her Feel Good”でメジャー・デビュー。それに続くセカンド・シングル“No Daddy”も話題を集めるなか、このたびファースト・アルバム『Roc-A-Fella Records Presents Teairra Mari』(Roc-A-Fella/Def Jam/ユニバーサル)をリリースしたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年09月01日 16:00

更新: 2005年09月08日 19:06

ソース: 『bounce』 268号(2005/8/25)

文/櫻井 智子