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インタビュー

ドラびでお

ラフォーレ原宿のバーゲンCMにも出没!? 噂のドラム+ビデオ=ドラびでおがCDデビュー!


〈ドラびでお〉という名前をあちこちで目にして、気になっていた人は多いはず。ドラムセットを巨大なビデオデッキに見立てた〈ドラムによるVJ〉とでもいった革命的スタイルで、巷の噂をかっさらっているドラびでお。大友良英、Sachiko MとのI.S.O.や想い出波止場への参加で知られる山口在住のドラマー、一楽儀光によるユニットである。

 初めてドラびでおのライヴを観た時は、全身がクギヅケになった。それだけでショウとして成立する怒濤のドラム・ソロ。それに呼応してスクリーンに(しかも2倍速、1/2倍速、逆再生のミックスで)再生されるのは、なんと〈赤穂浪士〉の殿中シーンだったり、どこぞの社員旅行のホームビデオだったり、皇室だったり、ブッシュと北朝鮮のコラージュ映像(米国ライヴで使用)だったりするのだから……。そのハチャメチャさたるや、まさに空前絶後。

〈システムの発明〉という意味ではメディア・アート的な側面もあるが、ブッちぎりのエンターテイメント性とプリミティヴな野蛮さは、むしろそれを凌駕するもの。

「海外の有名な賞を運良くいただいたりしていますが、根本的に私はストリートで生まれたもの、毎日ライヴなどで練り上げられたものにしか興味がありません。よく美術関係の人から〈もっとクールな作品を作ればいろんな美術館でできるのに〉と言われますが、そんな恥知らずな真似はできません。ずっと芸術の敵でいることが〈ドラびでお〉だと思っています」。

 存在自体がイリーガル(著作権侵害、名誉毀損、猥褻物陳列など)ともいえるドラびでおだけに、まさに奇襲といえる今回のCDリリース。その中身は「オーヴァーダブなどは一切せず、すべてドラムセットでコントロールして即興的に作った」という、韓国はソウルでのライヴ音源。ヴィジュアルがないと魅力半減?と思ったらどっこい、ドラムの生音とスリリングなコラージュが交錯するサウンドの凶暴さたるや、そこらのロック・バンドなんぞ足元にも及びません。ちなみに現在までにドラトロン(YOSHITAKE EXPE率いるニュートロンとの合体による、エクスペリメンタル・ファンク・ヴィジュアル・バンド)、プッシー&コックス(世界でいちばん下品なメディア・アートをめざす佐伯誠之助とのデュオ)、ドラストリー(ケ●ストリーとの架空セッション、無許可)などの目撃情報あり。CDの次はぜひ生で!

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年09月08日 12:00

更新: 2005年09月08日 19:07

ソース: 『bounce』 268号(2005/8/25)

文/井口 啓子