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インタビュー

RIHANNA


 社長のジェイ・Zを筆頭にデフ・ジャムが大プッシュをかけているニューカマー=リアーナが、チャートはもちろんメディアをも急沸騰させている。一度聴けばハマってしまうデビュー・シングル“Pon De Replay”は全世界のチャートでTOP10入りを果たし、ヘヴィー・ローテーション中。本人もこの好調すぎる滑り出しに「信じられない!」と驚嘆を見せているほどだ。彼女の17歳とは思えないほどしっかりとした歌声は、早くも実力派若手シンガーとして大注目を浴びている。

 バルバドスはセント・ミハエル島に生まれたリアーナ。幼少時はごくシンプルなカリビアン・ライフを送り、これといった音楽レッスンを受けることもなく、大ファンだというビヨンセの歌をたまにビーチで友人たちと口ずさんだりしていた程度だったそうで、自分に世界を魅了するほどの才能が潜んでいるということにはまったく気付かずにいた。そんな彼女の運命を一転させたのは、クリスティーナ・アギレラやケリー・クラークソンのプロデューサーとしてもお馴染みのエヴァン・ロジャースだった。クリスマス休暇で妻と共にバルバドスを訪れていたエヴァンが、友人の紹介を通じて出会ったのがリアーナだったのである。一目でリアーナに潜むスター性を読み取った彼は即座にNYでのレコーディングをセットアップ。NYへ戻ったエヴァンとそのパートナーであるカール・スターケンは、リアーナのために用意したスペシャルなトラックと共に彼女を待ち構えていた。すでにこの2人にはリアーナの将来が確実に見えていたのだろう。ダンスホール・レゲエから多くのインスピレーションを受けたビート、それにR&Bをミックスしたトラックは、まさにリアーナのために料理されたものだったのである。

「そうね、私の音楽は料理に例えるとわかりやすいかもしれない。カリビアン・テイストがたっぷりのビートとR&B、そして私の声をじっくりと煮込んだシチューのような感じね。私はカテゴライズされるようなアーティストにはなりたくないの。私の声がビートによって七変化していくのを感じ取ってもらえるようなシンガーでありたいわ。エヴァンとカールが私の才能を見抜いてくれたことを本当に感謝している。あの2人に出会わなければ、このシンデレラ・ストーリーはスタートしなかったもの」。

 そして、デモテープを送った各レコード会社のなかで、真っ先に問い合わせの電話をかけてきたのがデフ・ジャムだったという。オーディションが決まったときのリアーナの心境は〈緊張〉の2文字だけだったとか。ジェイ・Zと握手を交わし、彼やA&Rたちの目の前でパフォーマンスを披露することになったリアーナは“Pon De Replay”をはじめとする3曲を熱唱した。歌い終わった後に彼女が耳にしたのはジェイ・Zの拍手喝采、そして「この契約書にサインをしないと、この場所からは出られないよ」との言葉だったという。そんなデビューの契約が成された瞬間を「いまだにその時の感動を忘れることができない」と語るリアーナは瞳を潤わせていた。そんな姿からは彼女のピュアな一面も感じ取れたものだ。そうやって契約を果たしてから数か月後、すでに出来上がっていたトラックに数曲を加えて完成したのが、リリースされたばかりのファースト・アルバム『Music Of The Sun』である。

「太陽は私のルーツを象徴するもの。だから、アルバムのタイトル『Music Of The Sun』は私自身と私のルーツすべてを意味しているのよ。ソングライターとして私が書いた曲もあるし、とにかくヴァラエティーに富んだアルバムに仕上がっているわ。私が歌いたい曲を心を込めて歌い上げたものばかり。最初はすべてプロに任せっきりだというアーティストがほとんどなのに、クリエイティヴな面にまで私の希望が採り入れられて、プロデューサーたちとジェイ・Zに感謝しているの。このアルバムが、世界各国の人々の耳に届きますように、って毎日祈っているわ」。 

PROFILE

リアーナ
本名ロビン・リアーナ・フェンティ。バルバドス出身の17歳。ビヨンセやマライア・キャリーなどのポップ・ヒットに親しんで育つ。2003年末にリズム・シンジケートのエヴァン・ロジャースに見い出され、NYでデモ制作を開始。デモを聴いたジェイ・Zのオーディションを経てデフ・ジャムと契約を果たす。2005年に入って、メンフィス・ブリーク“The One”にフィーチャーされた後、5月にシングル“Pon De Replay”でデビュー。同曲は全米ポップ・チャートで2位まで上昇するスマッシュ・ヒットとなり、エレファント・マンをフィーチャーしたリミックスも話題となる。このたびファースト・アルバム『Music Of The Sun』(SRP/Def Jam/ユニバーサル)をリリースしたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年10月06日 17:00

更新: 2005年10月13日 18:54

ソース: 『bounce』 269号(2005/9/25)

文/櫻井 智子