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インタビュー

SHARISSA


 2001年にモータウンからデビューし、ヒップホップ・ソウル的アプローチとアネゴ肌なヴォーカルで話題を呼んだシャリッサ。そんな彼女がレーベルをヴァージンへ移し、このたびセカンド・アルバムの『Every Beat Of My Heart』をリリースする。

「モータウンにはとても感謝してるわ。だって、私のためにできるだけのことをやってくれたし、私はそこでスタートしたわけだから。あらゆる面でお世話になった。でも、これから多方面へと成長していくのにはヴァージンがいちばん私に合ってると思ったの。いまはヴァージンと共に成長していく時期だと思ってるし、凄く楽しみ。いいスタッフにも恵まれているのよ」。

 前作以降、今作に至るまでの約3年ほどの間、楽曲を書いたり、自身のクロージング・ブランド〈Madame Bluez & Co.〉を立ち上げたり、さまざまなアイデアや構想を練るために〈自分探し〉の旅に出ていたのだそう。「ひとりの女性としても常に成長していきたい」とも語る彼女の綴った詞には、そういった経験やストレートな心情が込められている。全曲でペンを握り、制作面にも大きく関与した今作は、おのずと前作以上に〈私という人間〉を反映した作品になっているという。そんな思いはアルバム・タイトルからも見て取れるだろう。

「自分の心の内を開いて、人生を振り返ったの。このアルバムはまさしく私の〈心の鼓動〉なのよ。いまの私、リアルな私を全面的にフィーチャーしたタイトルにしたかったの」。

 一方、今作に参加した強力かつヴァラエティー豊かなゲスト陣とのコラボも聴きモノだ。すべてが異なるカラーを打ち出しているのに、そのどれもがシャリッサらしさに溢れているのが非常におもしろい。

「ゲームと私はマネージメントが同じだから、仲良しファミリーみたいな存在よ。タンクは前からの友人で前作でもコラボレートしてる。“In Love With A Thug”をいっしょに書いてくれたの。その共演者にR・ケリーを薦めてくれたのもタンクなのよ。まさか、あのR・ケリーが私とのコラボに興味を持つなんて思ってなかった。でも、彼から最初にデモが届いた日のことはよく覚えてるわ。自宅の寝室でデモを聴いて、彼の歌声と曲の美しさに感動して泣いちゃったの。ワイクリフ(・ジョン)との曲は私が初めてレコーディング・ブースの中で作った作品なの。私が何となく〈Take me as I am~♪〉って始めたら、彼がそれに合わせてギターを弾き出して、その場でほぼ完成させたトラック。だから、頭に浮かび上がったことをそのまま歌にした。込めているメッセージは〈愛〉よ」。

 さらに、大ヴェテランのミリー・ジャクソンとはこんなエピソードも……。

「初日に彼女が自分の番を終えてブースから出てくると〈ハイネケンを持ってきて!〉と頼んだの。最高でしょ? 思わず笑っちゃったわ! この前も〈食事でもどう?〉と誘ったら〈外食に行くなんてとんでもない。ウチに来て〉と言われてご馳走になっちゃったの! 彼女と私は歌のスタイルを比較されることがしばしばあるんだけど、とても光栄に思っているわ」。

 そんな多彩な交流もあって完成した新作から聴こえる彼女の歌声は、より力強く、パッションに溢れている。ヴァラエティー豊かなサウンドと共に、彼女なりの〈Love & Peace〉を表現する姿は、実に説得力のあるものだ。こんな彼女の言葉にも、思わず納得してしまう。

「私のスタイルを一言で表現するなら……真実を常に追求するという意味も兼ねて〈Gritty〉ね」。

 今後はバンドを組んでディープ・ソウルを歌ったり、「ベイビーフェイスやジャム&ルイスとは絶対仕事したい!」とも考えているシャリッサ。アーティストとして、女性として、これからどんな姿を見せてくれるのだろう……楽しみでならない。 

PROFILE

シャリッサ
NYはブロンクス出身。母親が好きだったステファニー・ミルズやデニース・ウィリアムズの曲を通じて、幼い頃から歌に親しむ。教会の聖歌隊で歌った後は、バンドでも活動していた。95年に4人組のガール・グループ、4キャストを結成して98年に『Any Weather』でデビューするが、グループの消滅を受けてソロ転向。後見人のジミー・ヘンチマンを通じてモータウンと契約し、2001年にシングル“No Half Steppin'”でソロ・デビュー。続く“Any Other Night”も連続ヒットを記録し、翌2002年にはファースト・アルバム『No Half Steppin'』をリリース。その後ヴァージンに移籍して、セカンド・アルバム『Every Beat Of My Heart』(Virgin/東芝EMI)を9月28日に日本先行でリリースする。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年10月06日 17:00

更新: 2005年10月06日 20:12

ソース: 『bounce』 269号(2005/9/25)

文/佐藤 ともえ