インタビュー

MY MORNING JACKET

美しくて、壮大で、ダイナミックで、繊細で……完璧なまでに〈MMJらしい〉珠玉の一枚!


 いきなりプリンスのカヴァー“I Could Never Take The Place Of Your Man”をブチかました今年の〈フジロック〉、そして3年連続出場の〈ボナルー・フェス〉で実力を見せつけてくれたマイ・モーニング・ジャケットが、ニュー・アルバム『Z』を完成させた。メンバー・チェンジでパワーアップを図り、いつものスタジオを飛び出して外部プロデューサーを起用した本作。バンドのソングライターで、ヴォーカリスト兼ギタリストを務めるジム・ジェイムス(以下同)は「今までとはまったく違う新しいことをしたかった」と目を輝かせる。

「長ったらしいソロ・プレイは皆無で、あったとしてもキーボードが30秒くらいとか。とにかくカッチリとまとまりのある曲を作りたかったんだ。それに新メンバーが入って気分も一新したし、ポジティヴなエネルギーが溢れているよ」。

『Z』のプロデュースを手掛けているのは、レディオヘッドやニュー・オーダーとの仕事で知られるジョン・レッキ-。サイケなサウンドを得意とする彼と、バンドとの相性はすこぶる良好らしく、以前にも増して美メロ/歌メロが活かされている。

「歌メロは僕にとってもっとも大切な部分だからね。自分としても常にそこにはこだわりを感じているよ。ボブ・ディランやニール・ヤング、古くはサイモン&ガーファンクルやスティーヴィー・ワンダーを聴き狂っていた僕としては、歌メロあってこそのロック・ソングなんだ」。

 いまやジャム・バンドのムーヴメントの中核に位置する彼ら。だが、〈ジャム系サウンド〉と括られることに関しては不満もある。

「いったい〈ジャム系サウンド〉ってなんだい?って思うよね。だって僕たちはカントリーもやればロックもやるし、エレクトロニカだってやる。モロには聴こえないかもしれないけれど、新作の中にはヒップホップを土台に作った曲もあるほどさ。サウンド云々ではなく、なんでも受け入れる精神性だと思うんだ」。

 いっしょに全米ツアーを行ったウィルコとは通じるところも多く、〈オルタナ・カントリー〉と括られてしまうことの多い彼らに同情を寄せる。そして自分たちがRolling Stone誌から〈アシッド・カントリー〉と呼ばれ、Esquire誌から〈オシャレな男リスト〉に選ばれてしまうことに関しては、ひたすら失笑。そんなアウトサイダーな佇まいが、いかにもマイ・モーニング・ジャケットという気がする。
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掲載: 2005年10月13日 17:00

更新: 2005年10月13日 18:48

ソース: 『bounce』 269号(2005/9/25)

文/村上 ひさし