Tatsumi Akira & CaSETTE CON-LOS
元DETERMINATIONSの巽朗とカセットコンロスが作り上げた、熱き結束の一枚!
「新鮮だったのはね、曲が自然に書けるんですよ。デタミにおった時は今ほど自然に書けてなかった。メンバーに向けて曲を書いてるって意識が強くって。僕自身もやっぱり尊敬するメンバーとかおったから、〈この曲をどう思うやろ?〉とか、そんなんが先行してしまっててあまり自分らしく曲が書けてへんかったけど、今回は凄いそれができたなっていう実感はある。素ですわ、曲は。鼻唄から出てくるメロディーラインですから(笑)」(巽朗、サックス)。
結束(=DETERMINATION)という名を冠し、一枚岩な無二のスカを鳴らしていたバンドにいた人からこんな言葉が出るとは意外だ。そんな自然体の自分を出し切ったソロ・アルバム『KING go-es CALYPSO』を共に仕上げたのは、日本の誇るカリプソ・バンド=カセットコンロス。きっかけは、奇しくもDETERMINA-TIONSがラスト・ライヴを行ったことでも知られる野外フェス、〈ソラノネガイ〉の楽屋だそうで……。
「“SUNDAY”って曲あるでしょ? これの元曲みたいな曲が出来てて。楽屋でワダくん(マコト、ギター)に〈こんなカリプソっぽい曲作ってんで〉ってちょろっと吹いたら、そこでアンケン(アンドウケンジロウ、テナー・サックス)と3人でセッションみたいになって。で、デタミが解散してから、〈あん時のあの曲、ええ感じやったやんなぁ〉みたいな話で」(巽)。
当初は距離感を持って踏み込まない関係だったそうだが、視界が開けたのはカヴァー曲の“Last Waltz”だそう。
「原曲が凄すぎるというか、メロディーが良すぎるというか、それをカヴァーするにあたって凄いプレッシャーもあったし、いろんなこと試してみるけど、やっぱり原曲を超えられへんというか。で、本気で喧嘩しまくって(笑)」(巽)。
「俺的にはバンドとして捉えたっていうか。誰かを迎え入れるっていうよりは、〈ひとつのバンドとしてこのアルバムを作ります!〉っていう。誰かのために注文された演奏をするんじゃなくって、〈いつもコンロスでやってるみたいに5人で頭絞ってるのを、6人になってやってもいいんだね?〉っていうのを確認して、〈よし! じゃあ行こう!〉ってなった時からガーッていったかな」(ワダ)。
「怒涛の日々やったな。終わってからホント燃え尽き症候群。で、日焼けしてへん自分に気づいて凄い悲しくて(笑)」(巽)。
そう言って笑う彼らだが、どこよりも熱い夏がこのアルバムには詰まっているのだ。
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2005年10月20日 12:00
更新: 2005年10月20日 18:16
ソース: 『bounce』 269号(2005/9/25)
文/斉藤 ジョゼ