インタビュー

MU-STARS

MPCを携えたフレッシュでファンキーな超新星……待望のアルバムを『Check 1, 2』せよ!!


 「昔、たしか近田春夫さんが〈ヒップホップは非ミュージシャンによる音楽革命だ〉って言ってたんだけど、それはまさにそのとおりだと思っていて。僕はずっとミュージシャンになりたいと思いながらトラックを作ったりしてるんだけど、厳密に言えばいまだに自分はミュージシャンではないと思ってるんです」。

 そう語るのはSARU-DOG(発言:以下同)。これまでのリリースがアナログ・オンリーだという状況にも関わらず、すでに多くのDJやブレイクビーツ・マニアからの支持を得ている、2B(タカ)と結成した噂のブレイクビーツ・ユニット=MU-STARSのプログラミング担当だ。ブレイクビーツというマニアックになりがちなフォーマットを持ち前のポップ感覚とコラージュ・センスでグッと親しみやすく披露したかと思えば、コアなリスナーの耳をも唸らせるような太いビートで攻撃的に迫ってくる一面も。「心のヒーローはスチャダラパーとビースティ・ボーイズ」という発言も納得の、ファニーでラヴリー、でも決して軽くなりすぎないストロングなスタイル。そんな手法が魅力の彼らは今回、初のCD音源となるファースト・アルバム『Check 1, 2』をリリースする。お得意のファンキー・ブレイクスはもちろん、イルリメやYOUR SONG IS GOOD、BREAKfASTのMORIMOTO、JPC bandのTAKUTOといった、ヒップホップのみならずさまざまなシーンからのアーティストが参加したコラボ・トラックは、まさにフレッシュの一言に尽きる痛快な出来!

 「今回参加してもらったのは、とにかく僕が単純にファンで〈この人の新作が聴きたい!〉って思ってた人ばかりなんですよ。実際、初めていろんな人たちといっしょに作業して、すごく刺激になりましたね。いままでリリースした音源も入っててベストっぽい雰囲気もあるんですけど、やっぱり〈ファースト・アルバムだ!〉っていう感じの爆発してるイメージが出せたらいいなとは思ってました」。

 シーンの枠組みなんてひょいと乗り越えて、実に活き活きと、奔放に音の世界を闊歩するMU-STARS。この先、いったいどんなトラックで私たちをワクワクさせてくれるんだろう? ますます気になる今後の動向についてはこう答える。

「これからも、できるだけいろんな人に楽しんでもらえたらいいなっていうのはありますね。使ってるネタはマニアックなものを使ったりしてるんだけど、それをできるかぎりポップに昇華したいっていうか。そういうところは意識してるかも知れないです」。
▼『Check 1,2』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

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掲載: 2005年11月10日 18:00

更新: 2005年11月10日 18:47

ソース: 『bounce』 270号(2005/10/25)

文/aokinoko