インタビュー

KARL LARSSON

持ち前のメロディーセンスが光る、純粋で無垢な珠玉の一枚!


 エモ/インディー・ロック・ファンに絶大なる人気を誇るスウェーデンの4人組、ラスト・デイズ・オブ・エイプリル(以下LDOA)。そのソングライターであるカール・ラーソンが初のソロ・アルバム『Pale As Milk』を完成させた。もともと趣味で集めていたレコーディング機材を使って、彼の親友であるもうひとりのカール(・ウィックマン)君と共に曲作りを始めたのが、今作のきっかけだという。そして、いつになく屈託のない軽やかな空気感が、ギターやメロディー、歌声へと編み込まれた作品が完成した。

「リラックスした軽やかな雰囲気っていうのは当たってる。そもそもレコーディングをしているときはアルバムになるだなんて考えもしなくて、ただ楽しんでいただけなんだ。すごくお気楽な感じでね(笑)。プレッシャーなんて少しもなくて、そこが今回のレコーディングのいいところだった」。

 もちろん、そうした環境だったからこそ、彼独自の世界観が高純度な輝きを放っている。

「レコーディングも、プロデュースも、全部自分でやったのはこれが初めてなんだ。だから、本当の意味でこれが〈僕のアルバム〉って言える作品だね」。

 これはLDOAでも言えることだが、彼の曲は他の音楽からのインスピレーションからというより(ちなみに、曲作り中によく聴いていたのは「ソニック・ユースとイヴァン・ダンドゥ」だそう)、自身の内にある、いまだ無菌状態で保たれた少年性や物語性をあらゆる角度から照らし、音へと反射させていくことで生まれてくるものだと思う。届きそうで届かない、でもすべてを知ってしまったとき、大事な一部分を失ってしまいそうな気がする――この切なさと狂おしいほどの愛おしさが、ナイーヴな音楽ファンの心にいとも簡単に触れてしまう。それがカール・ラーソンの魅力だ。一方、ライヴでは山ほど楽器を持ち込んで、スケール感たっぷりの賑やかさだというから観てみたい。

「僕はギターで、友人のカールがドラム、マルメンがギターもベースも弾いてるんだけど、ベースといっても、オルガンの兄弟みたいな足で弾くやつで。あと、僕が誕生日にもらったオムニコードも。マルメンがいろんな楽器をいっしょに弾いていて、これが見てると笑えるんだ。足でベースを弾きながら、手でオムニコードを弾いたりね。ほんと楽しいから、日本でもライヴができるといいな」。
▼ラスト・デイズ・オブ・エイプリルの作品を紹介。

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掲載: 2005年12月08日 15:00

更新: 2005年12月08日 21:08

ソース: 『bounce』 271号(2005/11/25)

文/吉羽 さおり