インタビュー

THE STARS

ゆらゆら帝国〈第4の男〉が率いるバンドの、サイケデリックな新作が登場! 


 石原洋という男がいる。ゆらゆら帝国のサウンド・プロデュースで知られているが、かつてはWHITE HEAVENというバンドでヴォーカルとギターを務め、80年代から90年代にかけて全世界のサイケデリック・フリークを熱狂させてきた。WHITE HEAVENは、元祖サイケデリックだった裸のラリーズと、ゆらゆら帝国やdipといった現代のサイケデリック・バンドを繋ぐ、シーンの重要なポジションを占める存在だった。そして、WHITE HEAVENが遺したそのサイケデリアをポップに昇華したのがゆらゆら帝国とするならば、それと表裏一体のメランコリックでダークな要素を持つのが石原の現在のメイン・バンド=THE STARSといえるだろう。このたびセカンド・アルバム『Perfect Place To Hideaway』をリリースする彼らは、石原(ヴォーカル/ギター)に加えてWHITE HEAVENでの盟友=栗原ミチオ(ギター)、ゆらゆら帝国の亀川千代(ベース)、Spangle call Lilli lineにも参加している荒川康伸(ドラムス)から成る。

 タイトで力強い、初期ガレージ・ロックからノイ!にまで通じるミニマルなリズムが全編に渡って敷かれた新作では、ヒプノティックな陶酔感がより増している。ゆらめくアルペジオとフィードバックするギターが心地良い“Subway(aka Night Walker)”で幕を開け、ファズを効かせたリフと暴走するノイズの組み合わせがめちゃめちゃカッコいい“Double Sider”へと雪崩れ込む。作品中もっともポップな“Lemonade”と後期スペースメン3のような音響彫刻的インスト“Electron Spin Carnival”が置かれ、ヘヴィーでプログレッシヴなギターワークに彩られた“Ice Blues”でハイライトを迎える。ラストを飾る“The World I Left Behind”は静謐で、儚く消え入りそうだ。この作品は、〈現実から逃避するのに完璧な場所〉へとあなたを連れて行く。

▼関連盤を紹介。

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掲載: 2005年12月08日 16:00

更新: 2005年12月08日 21:01

ソース: 『bounce』 271号(2005/11/25)

文/原 英大