インタビュー

creamstock

スマートなサウンドを爽快に鳴らすトリオの、甘くロマンティックなファースト・アルバム!!


 今年2月にリリースされたモータウンのトリビュート・アルバム『ROCK MOTOWN』は、〈こんなバンドがこんな曲を!〉的驚きも然ることながら、改めてそのバンドの持ち味や魅力を浮き彫りにしてくれた作品だったが、そこでアイズレー・ブラザーズの“This Old Heart Of Mine(Is Weak For You)”をカヴァーしていたのがこのcreamstock。FRONTIER BACKYARDやLOW IQ 01など錚々たるラインナップのなか、フレッシュなソウル・フィーリングで個性を放っていたトリオ・バンドだ。

「服飾の専門学校に通ってた頃、ぶらっと入ったライヴハウスでたまたまやってたバンドの曲を聴いて、なんか胸があったかくなったというか、勇気が出たというか、明日もがんばろうみたいな気持ちになったんですよ。バンドの名前もわからないし、歌詞も英語でわからなかったけど、音楽を聴いてそんな気持ちになったことがすごく衝撃だったんです。で、自分もそういうメロディーを大事にしたバンドがやりたいな、と思ったのが(結成の)きっかけです」(木庭真治、ヴォーカル/ベース:以下同)。

 得意のミシンをベースに替え、ひたすら気持ち良いメロディーを求めること数年。精力的なライヴとそれに伴う口コミで彼らの名は順調に浸透し、昨年夏にリリースされたミニ・アルバム『creamsto-ck』も好セールスを記録中だ。そして今回、待望のファースト・フル・アルバム『GREEDY』が完成。メロコアやパンクの昂揚感にボサノヴァが心地良い風を吹かせ、時にはジャジーに陶酔させる極上のメロディーが満載だ。

「解釈はいろいろだと思うけど、自分たちは〈パンク〉だと思ってて。そのなかでメロディーを大切に、とにかく心に響くようなメロディーを、というのがこのバンドのコンセプトなんです。そして音も言葉も、聴く人のいろんな感情に当てはまって、いろんな解釈をしてもらえるようなものを作っていきたい。言い方はちょっと悪いかもしれないけど、押し付けがましいメッセージ性を表現するよりも、もっと〈共感〉してもらえるようなもののほうが、自分たちにとってのリアルだと思ってるから」。

〈キャラメル〉〈ストロベリー〉〈ミルクティー〉……。揺るぎない信念をコーティングした〈SWEET〉なキーワードが手招きする、11のテイスト。何物にも毒されていないこのcreamstockのセンスとアイデアは、まだまだその味わいを深めていきそうだ。
▼関連盤を紹介。

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掲載: 2005年12月15日 13:00

更新: 2005年12月15日 19:04

ソース: 『bounce』 271号(2005/11/25)

文/山田 邦子