インタビュー

GAGLE

仙台発、無敵のヒップホップ・トライアングルが綴る『BIG BANG THEORY』に死角なし!


「やっぱりブツかり合うっていうのが俺は好きですね。何かに寄り添ってできたものより、そのなかで生まれてきたもののほうが絶対だと思いますね。それがよく出てるのは1曲目かな」(Hunger、MC)。

 その“RETURN OF THE 3 MEN”が高らかにヒップホップ伊達男たちの健在をアピールするセカンド・アルバム『BIG BANG THEORY』。Mitsu the Beats(MC/トラックメイカー)、Hunger、DJ Mu-R(DJ)、さらには今回コ・プロデュースを手掛けたJazzy Sportクルーも含め、それぞれの間にあるプレッシャーというハードルがサウンドの水準をアップさせている。3年ぶり。〈待望〉という言葉は、こういうときに使うべき。

「それぞれがファースト・アルバムの後にやってきたことの集大成。自信はありますよ」(Mitsu)。

 タイトルから構成、DVDに収録された映像作品まで、彼らの完全なオリジナリティーが微妙なニュアンスでコントロールされている。Mitsuの成熟したプロダクションに、滑舌もリリックも冴え渡るHungerの声、「ヒップホップ度数2割アップ」というMu-Rのスクラッチと、3人それぞれのスキルが発揮されたトラックだらけだ。“鍔ゼリアイ”ではm-floのVerbalと共演。

「Verbalさんがハードコアなかっこいいラップができるってことは知ってたんで、そこで今回GAGLE色に染めてみたいっていう。そしたらマチガイないものができましたね」(Mitsu)。

“Constellation”はKOHEI JAPANとの曲。「僕のデモのヴァースをキックしてるんですよね」(Hunger)。デビュー前の曲を引用したという粋な技を効かせたKOHEIと3人の信頼関係が伝わってくるような曲だ。2曲ではプロデューサーも起用。ドス黒くドープなヴァイブに可愛げで「ちょっと笑える」(Mu-R)エッセンスがあるマスパイクのロディ・ロッド。そしてもう1組は、今春のアルバムも好評を博した、DJ JIN(Rhymester)を中心としたBreakthroughだ。

「俺の精神的な部分をブツけても耐久力があるトラックですね。自分だけが一人歩きしないっていうか」(Hunger)。

 アルバムは、聴く者に答えを委ねたディープな“屍を越えて”で締めつつ、謎のグループ=サウ・ダージのアウトロがユルやかに終演を告げる。ブラッシュアップされたスキルはかなり鋭利だ。テイクケアにてプッシュ・ザ・ボタンを。
▼『BIG BANG THEORY』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

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掲載: 2005年12月15日 13:00

更新: 2005年12月15日 19:03

ソース: 『bounce』 271号(2005/11/25)

文/栗原 聰