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インタビュー

YA-KYIM


 ラッパーのMIKUとヴォーカルとコーラスを担当するALISAとYURIEから成る、歌って踊れるガールズ・グループ、YA-KYIM。小学生の頃にダンス・スクールで運命の出会いを果たした彼女たちは、99年に日本最大のヒップホップの祭典〈BBOY PARK〉のキッズ・ファッション・ショウにダンサーとして参加、そこでマイクを握る覚悟を決めたという。

「私たちにとっての〈ヒップホップ〉とは、それまでダンスのなかの1ジャンルでしかなかったんだけど。〈BBOY PARK〉で、DJ、MC、グラフィティ、ブレイキングが融合された、みんなが一体となれるカルチャーとしてのヒップホップに出会い、すごく衝撃を受けたんです。で、その時、マイクを持ってパフォーマンスしたくなったこの3人でYA-KYIMを結成したんです」(MIKU)。

 その後、〈BBOY PARK 2002〉のアーティスト・ライヴにYA-KYIMとして晴れて出演。 2005年4月に“Clap 'n Clap”でデビューを果たした彼女たちが、ついにファースト・アルバム『STILL ONLY ONE』を完成させた。

「テーマは〈STILL ONLY ONE〉。私たちは、ヒップホップによってオンリー・ワンで居続ければ、絶対No.1になれるっていう気持ちを見つけたし。自分らしくスタイルを貫いていけば、自分たちの存在は意味のあるモノになっていく、ということにも気づいて」(MIKU)。

「今作では、アゲアゲな曲からメロウ・チューンまで、歌詞的にもラヴソングや仲間に向けたリリックなど、いろんなスタイルで自分たちを表現してみたんだけれど、すべてがYA-KYIMにしかできない曲に仕上がりました」(ALISA)。

 本作の魅力を語るうえで特記すべきは、3人の個性豊かなエクスプレッション。YURIEはアリーヤや112、ALISAはビヨンセやジェニファー・ロペス、MIKUはミッシー・エリオットやオールド・スクール・ヒップホップが好きというだけのことはある。3人の個性も見事なまでにバラバラなのだが、各々のスタイルを最大限に活かしながら結束力のあるグループ性を打ち出す姿は絶品!! 

「ヒップホップやR&Bって、自分たちで遊びながら自分らしさを出していってナンボの音楽じゃないですか。だから、ヒップホップやR&Bをベースに、それぞれが自分のスタイルを確立して、3人で融合した時に物凄いパワーを生み出せるようなグループをめざしているんです」(YURIE)。

「で、オリジナリティーやスキルも大事だけど、それと同じぐらいヒップホップやR&Bにおいて大切なのは〈伝えたい〉という気持ちだと思うんです。できるだけ多くの人々に届けたい、その一心でどの曲も楽しく丁寧に歌いました」(ALISA)。

 また、「もともとYA-KYIMはダンスをきっかけに活動をスタートしたので、トラックを聴く時に最初に気になる部分は踊れるかどうかということ」と3人が語るだけに、メインストリームのヒップホップ/R&Bにも通じるトラック選び、加えて抜群のリズム感でサウンドを彩るフロウも秀逸だ。しかも、実際にレコーデイング中、踊りながら録った曲も多数収録されている、というのだからアルバムの楽しさが満点なのは言わずもがな。何より、カルチャーとしてのヒップホップを心から愛していることが伝わってくる内容が聴き手の心を強く揺さぶる本作。そんなアルバムの背景にはYA-KYIMの尊いイデアが秘められていた。

「YA-KYIMは、先輩や仲間、そしてこれから出てくる新しい人たちに支えられているからこそ〈いま〉がある。だから〈世代を越えて多くの人たちとヒップホップやR&Bを分かち合っていきたい〉という思いのもと、この作品を制作したんですよね」(MIKU)。

PROFILE

YA-KYIM
MIKU(ラップ)、ALISA(ヴォーカル/コーラス)、YURIE(ヴォーカル/コーラス)から成る3人組。小学生の頃から幼馴染みだった3人が、2002年から本格的にYA-KYIMとして活動を開始。〈BBOY PARK〉への出演をはじめ、渋谷を中心にクラブ・イヴェントなどで精力的にライヴをこなす。デビュー前にDJ KAORIのミックスCDに“Woo, Woo, Wow”が収録されて話題を集め、2005年4月にシングル“Clap 'n Clap”でデビュー。同年8月には“Happy the globe”、12月には“Elec-Trick”とコンスタントにシングルをリリース。さらなる注目を集めるなか、ファースト・アルバム『STILL ONLY ONE』(ビクター)を2006年1月11日にリリースする。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年01月19日 12:00

更新: 2006年01月19日 18:27

ソース: 『bounce』 272号(2005/12/25)

文/金田 美穂子