インタビュー

POMERANIANS

より多くの人に伝えたい――ライヴを重ねた4人の想いが、〈虹〉となって君に届く!!


 もともと宅録バンドだったPOMERANIANSが、年間50本以上のライヴを経てリリースする新作『レインボークライマー』は、彼らがあらゆる〈現場〉で培ってきた自信を至るところに散見できる作品だ。その現場とは、当然ライヴの会場でもあるし、外部の情報を遮断し、寝袋を用意して合宿をしたというスタジオでもある。そんな現場での経験をとおして、ファースト・ステップとなる曲作りからしてもこれまでとは大きく変わってきたという。

「ライヴをたくさんやってきた経験が本当に大きい。同じ曲をやっても、伝えるつもりがあるのと適当にやるのとでは反応が如実に違う。歌詞に関しても、僕だけがわかる言葉ではなく、普段話している言葉で伝えないと届かない。僕らはまだまだ上に行きたいんです。そのためには、まずどういうつもりで音楽をやっているのかを理解してもらわないと」(河原崎亙、ヴォーカル/ギター)。

〈自分のことを相手に伝えたい〉という意思に忠実な制作作業がバンドに与えた影響は、技術面/精神面共に大きなものがあったという。

「ハードディスク上のエディットをほとんどしてないし、ゲストもいない。安易なダブ・ミックスもしなかった。ライヴで再現性の低いことはしていないんです。結果、4人の満足度が全然違った。いままでは〈ダブ・ポップ〉とか〈浮遊感〉とか、そういう切り口で語られてきたけど、新作はもっと具体的になったと思う」(河原崎)。

「否定はしないけど、前作までは自己満足で終わっている部分があった。今回は自己満足以上のこと……誰かを楽しませたり悲しませたりできる内容。幅が広がって開けたものを作ったつもり」(松本光由、ギター)。

 温もりのあるメロディーを軽快な裏打ちに乗せるスウィートなポップ・バンドという、彼らの根底となる部分はこれまでどおり。だがこの新作には、バンドが新たなフェイズに突入する瞬間のざわめきがギッシリ詰まっている。目まぐるしい活動の最中にも周囲を見渡して自身を省みる冷静さと、自分の興味に敏感に対応できる反射神経が彼らの原動力と言えるのかもしれない。

「僕たちだけの音楽をやっているつもりは本当にない。いちばんやりたいことを伝えて、それを良しとしてくれるリスナーがいればそれでいいんです。僕らは聴いている人たちといっしょのはずで、壁なんてない。ライヴでは手拍子も振り付けもいらないから、お客さんと〈わーっ〉って一体になれる瞬間が欲しい。共感したいんです」(河原崎)。
▼POMERANIANSの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年01月19日 13:00

更新: 2006年01月26日 19:06

ソース: 『bounce』 272号(2005/12/25)

文/ヤング係長