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インタビュー

ドン・マツオ

ズボンズのドン・マツオが、京都の強者たちと作り上げた傑作ソロ・アルバム!! 


 なぜにいまソロ・アルバムを?と訊ねると、「今年の夏、すごいヒマだったんで」とドン・マツオは笑った。どうも本当らしい。そう思いついた瞬間に、Limited Express(has gone?)の飯田仁一郎に「プロデュースをやってくれ」と電話をかけ、2日で曲を作り、2日で詞を書き、飯田の用意した京都のスタジオに乗り込んで、気鋭の若手ミュージシャンをバックに4日間で録音を終える。かくして出来上がったのが、ドンの無尽蔵のファンキーなエネルギーはそのままに、ズボンズでは見せなかった内なるパーソナリティーが色濃く出た『オレハシナイヨ。』だ。傑作である。

「ズボンズでは海外のリリースやツアーのことも考えて作るけど、今回は全然何も考えてない。飯田くんはキレ者だから、彼にすべてを任せました。周りのミュージシャンもうまいことやってくれて、新鮮な経験でしたね。結果的に、ズボンズよりも聴きやすいある種の軽さがあって、自分が考えていた以上のものになったと思います」。

 冒頭の数曲は、ズボンズで演奏しても違和感のなさそうなブルース、ブギー、ファンクなどのゴチャマゼ・スタイルで熱く突っ走るが、次第に繊細なプログラミングを駆使したオルタナティヴな要素があたりを覆い、感動的な大曲“アフリカの夢”でひとつの頂点を迎える。〈Shine a light on YOU, BOY!!〉と叫ぶ、激しくも優しい子守歌だ。

「子供が強いインスピレーションの源になってるのは確かですね。僕はずっと、大人になりきれずに歳を重ねてきた部分があるけど、子供ができて、大人であり、少年であり、親でありという、いろいろな視点でものを考えるようになった。そういう個人的なメッセージがより深くなれば、ある種の普遍性を持つ。そうでありたいと思って詞を書きました」。

 2006年の1~2月に予定されているソロ・ツアーは、ドンがひとりで現地に赴き、地元の若いバンドをバックに演奏するという画期的なスタイルになる。そこにも深い意味があるとドンは言う。

「各地の水面下でおもしろいことをやってる子たちがたくさんいるんですよ。その子たちがコネクションを作っていて、それが全国に繋がってる。その繋がりがグツグツ煮えたぎっていて、おそらく1~2年後には表面化するでしょうね。それはアメリカもそうだし、世界的な動きだと思うし、その渦の中に僕も入りたい。2006年は凄くおもしろい年になるでしょうね。僕ら自身も、音楽シーンも。期待してます」。

▼ズボンズの作品を一部紹介

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年01月19日 13:00

更新: 2006年01月19日 15:44

ソース: 『bounce』 272号(2005/12/25)

文/宮本 英夫