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インタビュー

三浦大知

少年は目覚ましい成長を遂げた。5年分の想いを詰め込んだファースト・アルバム!!


「超前向きですよ。超楽観的(笑)」――自分の性格についてそう言って笑う目の前の18歳の青年、三浦大知。Folderのフロントマンであった彼は、変声期のため5年間もの休業を余儀なくされた苦難の歴史をものともしない、余りにピュアな笑顔を向ける。しかしその強力なポジティヴィティーこそが、ファースト・アルバム『D-ROCK with U』のエネルギッシュでポップなR&Bサウンドに結実しているのだ。

「その5年間がないと、いまのプロデューサーとか周りのスタッフの人たちと出会えなかったし。だから休業したときから17歳最後の夏までの集大成じゃないですけど、5年間で自分がやってきたことをひとつにまとめたのが『D-ROCK with U』。アルバムはたぶん僕がいちばん楽しみにしてたんじゃないかってぐらいに楽しみにしていたので(笑)、こうやって形にできて自分でもすごく嬉しい」。

 休業中にアッシャーに目覚めた彼は、日本ではまだ数少ない〈歌って踊れる〉男性ソロ・シンガーへの道を走り始める。突き抜けるようなヴォーカルと高度なダンス・パフォーマンスで鮮烈なスタート・ダッシュを決めた2005年3月のデビュー曲“Keep It Goin' On”の後は、セカンド・シングル“Free Style”にてアッシャー“Yeah!”の作者であるアトランタのパトリック“J・キュー”スミスとがっぷり四つに組み、サイバーで難易度の高いトラックを見事に乗りこなすなど、攻めの姿勢を崩すことなく着実にステップアップしてきた。

「J・キューはもっと巨匠感漂う人なのかと思ってたんですけど、メチャメチャ気さくなお兄ちゃんて感じで。すごく普通の人だから、最初は〈この人がアッシャーの曲とか書いてるんだぁ〉ってちょっと実感が湧かなかったんですけど(笑)、曲を作る過程を見るとやっぱスゴイなぁって。彼は楽器を一切使わないで頭の中で全部コーラスを組んだり、トラックを聴いて全部鼻歌でメロディーラインも作ったりするんですよ。思いついたらすぐできるっていう」。

 そうした出会いの集大成である今作にはJ・キューやK-Mutoのほか、今井了介、HI-D、ZOOCO、村山晋一郎など多彩な参加陣が集う。ニュー・ジャック・スウィング、クランク、Gファンク、デジ・ロックなどを昇華したハイセンスなトラックと、細かいスキルよりも楽曲の世界観に身を任せた伸びやかな美声は、5年分の期待に余裕で応えるクォリティー。なかでもハイライトはJamと本人が作詞を共同担当したバラード“17 Ways”だろう。泣きメロと、本作全体を象徴するような生々しいリリックが刺さる刺さる。

「これはもともと作文で、17歳最後に思ってることなんかをバーッて書いて、それをJamさんにお渡ししたのが形になって返ってきたっていう。だから自分で聴いててもドキッとする歌詞が入ってたりする(笑)」。

『D-ROCK with U』には、5年という歳月が凝縮されただけでなく、かけがえのない〈17歳〉の輝きがあり、それはきっとたくさんの人を魅了するに違いない。そして三浦大知は常に前を向いて走り続ける。

「生バンドでやったり、ハウスみたいなトラックで歌うのもいいかなと思ったり。ソロ・デビューしてから〈ああいうことやりたい、こういうことやりたい〉というスタンスはずっと続いてるんで、そのモチベーションはずっと保ち続けて、『D-ROCK with U』からまたステップアップして、やりたいことをどんどんやっていきたいなっていう」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年01月26日 13:00

更新: 2006年01月26日 19:00

ソース: 『bounce』 272号(2005/12/25)

文/内田 暁男