インタビュー

Yellowcard

ブレイクを経てちょっぴり大人になった彼らの〈いま〉がたくさん詰まった充実のロック盤!


 成功を手にしたミュージシャンが抱える問題と言えば、やはり新作に期待するファンやレコード会社からのプレッシャー。メジャー・デビュー作『Ocean Avenue』が全世界で200万枚を突破し、一躍パンク・シーンの最前線に躍り出たイエローカードともなると、そのプレッシャーたるや半端ではなかろう。

「山の麓に立って、巨大にそびえ立つものを見上げ直したような気分だった。一生懸命やらなかった連中が落ちていくのを見たがる輩が巷には多いから、山の麓から見上げるのがいちばん辛かったよ」(ショーン・マッキン、ヴォーカル/ヴァイオリン:以下同)。

 しかし、そんなプレッシャーも何のその。出来上がったニュー・アルバム『Lights And Sounds』は、パンク・バンドからロック・バンドへと見事に飛躍した彼らの成長が読み取れる圧倒的な完成度を誇っている。従来のエモーショナルなメロディーはより熟成を増し、ギターはいっそう重厚に鳴り響き、さらにはオーケストラを導入した曲まで! 前作の続編的なものを今作に期待しているなら、まずはそのサウンドの変化に驚かざるを得ないだろう。

「固定観念から抜け出ていれば、ね。僕はミュージシャンとして、音楽を特定のジャンルに押し込むのはバカげていると思う。僕たちはパンクやポップ・ミュージックやクラシックやジャズの要素と、さらに常に何か違うものを持っていたけど、少し大人になったことでなおさらイエローカードの道に専念して、これまで学んできたさまざまなことを際立たせることができるだろう。今作でミュージシャンとしての僕たちの真価が発揮されていればと思うよ」。

 そもそも、結成当初の目標がツアーをすることだったという彼らだけに、新作のリリース後の予定はツアー三昧。2005年夏には〈サマソニ〉で来日したばかりなのに、早くも再来日の噂も……。

「今回は、以前とはちょっと違うオーディエンスが待っているかもしれないな。でも、僕らは常に最高のファンに囲まれてきたから、ツアーに出て昔馴染みのファンにまた会えることもすごく楽しみしているんだ。もちろん、新しいファンにも会いたいし。僕の母親が日本人で、僕も半分日本人だから、日本の文化もオーディエンスも大好き。だから、日本でプレイするのが大好きなんだ」。

▼イエローカードの作品を紹介

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掲載: 2006年01月26日 15:00

更新: 2006年01月26日 18:00

ソース: 『bounce』 272号(2005/12/25)

文/菅原 亮