水中、それは苦しい
3月8日に銀杏BOYZのレーベル〈初恋妄℃学園〉からアルバム『顔にやさしく』をリリースする〈水中、それは苦しい〉。リリー・フランキー、みうらじゅん、安めぐみ、猫ひろしなど、さまざまな著名人から支持を集めている、このバンドの首謀者・ジョニー大蔵大臣に話を訊いてきました。
〈やすやすめぐみ! やすめぐみー!〉安めぐみへの愛情を一方的に歌い上げた、安めぐみ自身にとって迷惑極まりないであろう(でも本人公認)“安めぐみのテーマ”を聴いてもらえれば、このバンド〈水中、それは苦しい〉についての説明はもうなにもいらないんじゃないかと思う。フォークとパンクとトラッドを混ぜ合わせた曲調で彼女のプロフィールを綴ったこの曲は、強烈なバカバカしさとシュールレアリズム的不毛さをもって、聴くものに脱力感を与える。“もげもげ先輩”、“ベア川哲也”、“ガッツいちもつ2006”など、他の楽曲もタイトルを見ていただければおわかりのとおり、いちいち説明する必要がないくらい〈くだらない〉。当日、ジョニー氏は40分も遅刻された上に、話は飛びまくり。まったくかみ合わないままモンドな空気に包まれつつインタビューは進んだのでした……。
――かなり変わった編成だと思うんですけれど、この編成になった理由を教えてもらえますか?
ジョニー(以下、ジ) このバンドは90年代にも活動していて、今回が再結成なんですよ。で、復活させるにあたって、まずギターを練習したんです。2001年頃かな。僕がその頃からギターを練習しだして、あとはバイオリンが入れば活動できるかなと思って。
――なんでバイオリンだったんですか?
ジ それは神の啓示です。あ、そうだ。ちょうどTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが解散した頃だったので、アベフトシさんに加入してもらおうと思っていたんですよ。彼が近所に住んでいてスーパーでよく会うので、その度に声をかけていたら最終的には鬱陶しく思われてましたけど(笑)。かっこいいんですよ、アベフトシ。
――アベさんに入ってもらおうとしたポイントっていうのは。
ジ ギターを弾くとき、右手のカッティングが早い人っていうのがメンバーに求める第一条件だったんです。左手の動きは見てもよくわかんないでしょ。
――あの、バンド編成の話だったんですけど……。じゃあ、このバンドのコンセプトをお伺いできますか。
ジ 言葉重視で叫び重視。それで、アドリブもきちっと観ている人に伝わる音楽です。生々しさっていうか。僕は小さいサイズのアコギを使っているんですけど、バイオリンとの相性がすごくいいんです。PAシステムを通さなくても、楽器を全開で弾いたときのバランスがいい。ギターポップのバンドもやっていたんですけど、向いてなかった。だから、そういうのはもっと上手くできる人におまかせして、自分はこの溢れる才能を垂れ流すやり方を選んだんです。
――なるほど。アルバムを聴いて誰もが気になるのが“安めぐみのテーマ”だと思います。
ジ それはね、元々ファンで曲を作ったと思われるかもしれないけど、実は会った後で作ったんですよ。最初に会ったときに、安さんが水中のDVDを持っていて、ファンだと言ってくれて。その時に〈なんだこの生き物は!〉とショックを受けたんです。それで次に会う機会があったら絶対曲を作って持って行こうと決心したんです。それから、リリー(・フランキー)さんと安さんがやっていたラジオに、曲を持ってゲストとして飛び入り参加しました。みうら(じゅん)さんとリリーさんがいつも言っているんですけど、グラビアアイドルは大きさとか形よりも、質感なんですよ。安めぐみはそういう意味で、グラビアアイドルの新女王なんです。なんていうのかな、ダイヤモンドより硬くて……。えーと。スライムより柔らかいもの? いや、ちがうな……。えーと……。